第67回日本心臓病学会学術集会

プログラム

ディスカッション

『心臓病学会の原点を学び未来を創る』

栄誉賞受賞記念講演

座長
萩原 誠久 (東京女子医科大学 循環器内科)

教育賞受賞記念講演

座長
小室 一成 (東京大学医学部附属病院 循環器内科)

坂本レクチャー

『Advances in cardiac imaging: future perspectives』

座長
伊藤 正明 (三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学)
演者
John Gorcsan Ⅲ
(Division of Cardiology, Washington University in St. Louis)

特別講演

座長
中野 赳  (桑名市総合医療センター)
演者
伊藤 正明 (三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学)
座長
小室 一成 (東京大学医学部附属病院 循環器内科)
演者
Patrizio Lancellotti
(Department of Cardiology, GIGA Cardiovascular Sciences, University of Lie`ge Hospital)
座長
福田 恵一 (慶應義塾大学病院 循環器内科)
演者
Gérald Simonneau
(Centre de Référence de l'Hypertension Pulmonaire Sévère Service de Pneumologie et Réanimation)
座長
矢野 雅文 (山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学(第二内科))
演者
Benjamin D. Levine
(Institute for Exercise and Environmental Medicine, Texas Health Presbyterian Hospital Dallas and the University of Texas Southwestern Medical Center)
座長
小野 稔  (東京大学医学部附属病院 心臓外科)
演者
Hiroo Takayama
(Division of Cardiac, Thoracic, & Vascular Surgery, Columbia University Medical Center)
座長
筒井 裕之 (九州大学大学院医学研究院 循環器内科学)
演者
Kazuaki Negishi
(Australian National Heart Foundation Future Leader Fellow Professor of Medicine, Nepean Clinical School, Faculty of Medicine and Health, The University of Sydney Adjunct Professor, Menzies Institute for Medical Research, University of Tasmania Cardiologist, Nepean Hospital, NSW, Australia)
座長
伊藤 浩  (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学)
演者
Mamoo Nakamura
(Cedars-Sinai Medical Center, Heart Institute, Advanced Health Sciences Pavilion)
座長
萩原 誠久 (東京女子医科大学 循環器内科)
演者
Pedro Brugada(Cardiovascular Division, UZ Brussel-VUB)
座長
池田 隆徳 (東邦大学大学院医学研究科 循環器内科学)
演者
Takumi Yamada
(Division of Cardiovascular Disease, University of Alabama at Birmingham)

ミート・ザ・エキスパート

教育講演

座長
山本 一博 (鳥取大学医学部 病態情報内科)
上村 史朗 (川崎医科大学 循環器内科)
座長
國本 聡  (川口市立医療センター)
演者
中西 理子 (東邦大学医療センター大森病院 循環器内科)
座長
諸井 雅男 (東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)
演者
本村 昇  (東邦大学医療センター佐倉病院 心臓血管外科)
座長
福本 義弘 (久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門)
演者
天野 恵子 (野中東皓会 静風荘病院)
座長
磯部 光章 (日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院)
演者
古森 公浩 (名古屋大学医学部附属病院 血管外科)
座長
室原 豊明 (名古屋大学医学部 循環器内科)
演者
井上 晃男 (獨協医科大学 心臓・血管内科)
座長
平山 篤志 (大阪警察病院 心臓センター)
演者
樋熊 拓未 (聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
座長
井上 晃男 (獨協医科大学 心臓・血管内科)
演者
大塚 雅人 (荻窪病院 心臓血管センター 循環器内科)
座長
小松 誠  (大阪暁明館病院 循環器内科)
演者
大木 隆生 (東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座 血管外科)
座長
木村 剛  (京都大学医学部附属病院 循環器内科)
演者
石橋 宏之 (愛知医科大学 外科学講座血管外科)
座長
中川 義久 (滋賀医科大学 循環器内科)
演者
香坂 俊  (慶應義塾大学医学部 循環器内科)
座長
澤 芳樹  (大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学)
演者
絹川 弘一郎(富山大学医学部 第二内科)
座長
尾辻 豊  (産業医科大学 第2内科学)
演者
阿部 幸雄 (大阪市立総合医療センター 循環器内科)
座長
石坂 信和 (大阪医科大学 内科学Ⅲ)
演者
磯部 光章 (日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院)
座長
福井 寿啓 (熊本大学医学部附属病院 心臓血管外科)
演者
桑田 真吾 (聖マリアンナ医科大学病院 循環器内科)
座長
栗田 隆志 (近畿大学医学部 心臓血管センター)
演者
佐藤 俊明 (杏林大学医学部付属病院 循環器内科)

トピックス

座長
後藤 信哉 (東海大学医学部 内科学系)
演者
堀内 久徳 (東北大学加齢医学研究所 基礎加齢研究分野)
座長
梶波 康二 (金沢医科大学 循環器内科学)
演者
山下 智也 (神戸大学大学院医学研究科 内科学講座・循環器内科学分野)
座長
井阪 直樹 (博仁会村瀬病院)
演者
三羽 邦久 (ミワ内科クリニック)

会長特別企画

原点を学び未来を創る

『未来型医療を創る心臓病のビッグデータ』

座長
小川 久雄 (国立循環器病研究センター)
山崎 力  (国際医療福祉大学)
座長のことば
1990年代に一気に広まったEBMに沿って、循環器領域では、比較的大規模の集団データを活用した疫学研究、臨床試験、メタアナリシスによるエビデンスが蓄積され、それが今日の心臓病治療の基盤をなすに至っている。一方で、non-responder、有害事象など、エビデンスという名の集団利益が、必ずしも個々の患者の幸福に繋がらないこともあらためて明確となり、personalized medicineの必要性が強調されることとなった。
近年の医療の進歩は、莫大な診療情報、ゲノム、エピゲノム、プロテオーム等々のオミックス情報に支えられているといっても過言ではない。加えて、循環器領域では、種々の画像情報、ペースメーカー、ICDなどを含むデバイス情報も満ち溢れている。こういったビッグデータの医療への活用が最も期待される疾患が、心臓病ではないだろうか。AIを代表とする情報処理技術の革新的な進歩がそれを後押しすることになるであろう。ビッグデータを取り巻く課題の範囲は、収集、選択、保管、検索、共有、転送、解析、可視化等多岐にわたる。これらの課題を一つひとつ克服することが「未来型医療」の創生に繋がる。
脳卒中や心臓病などへの対策を強化する「循環器病対策基本法」が昨年12月の臨時国会で成立し、今年中に施行される。法律に基づき、国と都道府県が対策推進基本計画を策定し、予防や医療体制の整備、登録など総合的な対策に着手する。このことも心臓病のビッグデータ作成を後押ししてくれるものと期待している。

『これからの遠隔医療と遠隔診療』

座長
掃本 誠治 (九州看護福祉大学看護福祉学部)
青沼 和隆 (筑波大学 循環器内科)
座長のことば
遠隔医療・診療は、これまで離島や無医村地域などのいわゆる医療過疎地域の診療支援や災害時、救急時における情報共有に焦点があてられてきたが、インターネットやスマートフォンなどのIT機器の発達や、予防医療重要性の認識向上により、広く住民を対象とする医療形態として医療を大きく変化させる可能性がある。
例えば、救急時に地域中核病院の専門医と診療所を結ぶ医師間の遠隔画像診断いわゆるD to D遠隔医療はこれまでも行われてきたが、主治医と患者を結ぶ遠隔診療のほかに一般住民とを結ぶ健康相談などの遠隔医療相談なども含まれる。
更にはIOTを利用し、地域中核病院と遠隔医師不足地域の病院とを高速ネットワークで結び、遠隔地病院における心臓カテーテル治療等を、書き込み可能な画像ソフトと音声を用いて、ハブ病院から遠隔指導するシステムを用いた、遠隔治療サポートの試みも開始されている。
平成30年度診療報酬改定により認められたオンライン診療は遠隔医療を持続させる手段としては重要だが、遠隔医療・診療は、医療、介護、あるいは健康増進の予防等のどのような場面で何が可能で、どのような有益性があるのか、その有益性は患者、医師、医療機関、社会にどのような影響を与えるのか、本セッションでは遠隔医療、遠隔診療の現状と課題を議論することで、今後の医療の方向性を示せれば幸いである。

『循環器医が考える糖尿病管理の未来像』

座長
野出 孝一 (佐賀大学医学部 循環器内科)
桑原 宏一郎(信州大学医学部 循環器内科)
座長のことば
糖尿病は動脈硬化性心血管病(ASCVD)および心不全の重要な危険因子であり、糖尿病管理のゴールは当然血糖マーカーであるHbA1Cの低下のみでなく、ASCVDや心不全の発症を抑制し、健康的なQOLの維持と寿命の延長となるべきである。しかし比較的最近まで厳格な血糖管理による2型糖尿患者での心血管イベント抑制、心不全発症抑制、死亡抑制を示す明確なエビデンスは得られていなかった。加えて、心不全に関しては、糖尿病合併症としてあまり強く認識されていなかったという現実もあった。このような状況の中で、近年、2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬の心血管イベント、心不全入院、心血管死の抑制効果、GLP1受容体作動薬の心血管イベント、心血管死抑制効果を示す大規模臨床研究の結果が報告された。特にSGLT2阻害薬の心不全発症抑制効果は、2次予防のみならず、1次予防に相当する2型糖尿病患者においても幅広く認められることが明らかとなった。GLP1作動薬の心血管イベント抑制効果についても同様により幅広い2型糖尿病患者層に対する効果が期待されつつある。現在、SGLT2阻害薬やGLP1受容体作動薬の心血管イベントおよび心不全抑制メカニズムについて検討が加えられており、これらは同時に糖尿病におけるASCVDおよび心不全の発症機序とその予防、治療に対する新たな視点を導入することに繋がるであろう。本シンポジウムではこのように新たな時代に突入した糖尿病管理に関するトピックスについて、循環器医として基礎的、臨床的視点の両者から議論を深めたい。

『脂質異常症に対する治療介入の原点と未来を考える』

座長
代田 浩之 (順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学)
倉林 正彦 (群馬大学大学院医学系研究科 循環器内科)
座長のことば
プラバスタチン(メバロチン®)が登場したのが1989年(平成元年)であり、シンバスタチンによる二次予防試験(4S)が発表されたのが1994年(平成6年)、そして、2000年(平成12年)にはアトルバスタチン(リピトール®)が登場し、積極的脂質低下療法時代の幕開けとなった。スタチンの大規模ランダム化比較試験(RCT)のエビデンスはどれも画期的であり、スタチンによるLDL-C低下療法によってLDL-Cは「The lower, the betterである」とのコンセプトが生まれた。日本のMEGA studyが2005年11月、ダラスでのAHAのLate Breakingで発表され、日本人の一次予防でもプラバスタチン群が冠動脈疾患を33%も低下させることが報告され誰もが衝撃を受けた。また、ハーバード大学のRidkerらが行ったCANTOSによってIL-1βによって誘導される炎症が動脈硬化の基本的メカニズムの一つであることが示された。さらに、エゼチムブやPCSK9阻害薬により、「Even lower, even better」が証明された。しかし、一方でこうした強力なLDL-C低下療法にもかかわらず、心血管死を含めて心血管イベントリスクは残存することから、この残余リスクへの対策が急務となっている。IVUSを用いた前向き臨床試験、Genome wide association study(WGAS)やMendelian randomization(MR)studyなどによって高トリグリセライド、高non-HDL-C、高Lp(a)などが、真に動脈硬化の原因であることが証明され、また、高用量のエイコサペント酸エチル(EPA)をスタチンと併用することが高TG血症をもつ患者の心血管リスクを25%(p<0.0001)も低下させることが示された(REDUCE-IT)。
本シンポジウムでは、スタチン登場後30年の節目に当たり、LDL-Cそしてbeyond LDL-Cを、基礎と臨床の両面からDiscussionし、新たな治療標的と治療戦略を探りたい。

『冠動脈瘤を原点から知る』

座長
石原 正治 (兵庫医科大学 内科学講座 循環器内科・冠疾患科)
三谷 義英 (三重大学医学部附属病院 周産母子センター)
座長のことば
日常の診療の中で、冠動脈造影検査時に「冠動脈瘤」に時に遭遇し、最近では冠動脈CT、MRI検査の機会に発見されることも知られる。しかし、その画像所見、病因は多様であり、予後も不明な点も多く、侵襲的治療の決定など管理上のピットホールとなる。
一般人口において、冠動脈瘤の発生率と病因は、その定義、年齢、人種により異なるが、欧米の成人を主とする冠動脈造影検査、剖検例の報告で、1.4-5.3%の発生率と報告される。主な病因として動脈硬化性50%、先天性30%、炎症性15%(川崎病、高安病、全身性ループスエリテマトーデス等)が挙げられるが、他に遺伝性結合組織病(マルファン症候群、Ehlers-Danlos症候群)、全身性症候群(ヌーナン症候群、ウィリアムズ症候群)、外傷性(胸部外傷、カテーテル治療)などが報告される。また、先天性冠動脈瘻との鑑別も問題となる例がある。
本企画では、冠動脈瘤の原点に立ち返り、その定義と病因・疫学も含んでオーバービューを行い、最も代表的な動脈硬化性、日本で多い川崎病性、時に見られる先天性、比較的稀な炎症性・結合組織病・全身性症候群に伴う例について、その画像所見、臨床像、診療方針、予後などについて議論し、今後の診療の糧としたい。

『冠攣縮研究と診療の原点と未来』

座長
富田 泰史 (弘前大学大学院医学研究科 循環器腎臓内科学講座)
海北 幸一 (熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学)
座長のことば
冠攣縮に関する研究と診療は、泰江らをはじめとする本邦の研究者によってその黎明期が始まった。冠攣縮を発症機序とする冠攣縮性狭心症(異型狭心症を含む)の疾患概念が確立され、過換気負荷試験ならびにアセチルコリン負荷試験などの冠攣縮の誘発が、確固たる診断的手法として世界に先駆けて実施された。カルシウム拮抗薬による治療・予防の有効性も数多く報告されている。一方、冠攣縮の機序について、血管平滑筋の過収縮と血管内皮機能不全が主たるメカニズムとされ、着実にその機序解明が進んでいるものの、カルシウム拮抗薬抵抗性の難治性冠攣縮性狭心症や冠攣縮が関与している突然死、冠微小血管攣縮、冠動脈ステント留置後の冠攣縮など、未だ解決されていない臨床的課題も多い。今後も本邦の多くの研究者が冠攣縮の発生機序の解明や治療・予防の改善において世界をリードする研究、診療を推進していくべきであるが、冠動脈インターベンション全盛である昨今において、冠攣縮の存在は軽視されている傾向がある。本会長特別企画では、冠攣縮研究と診療の原点をみつめ、その重要性を再認識するとともに、冠攣縮研究の現状、人種差を紐解く遺伝子研究の展開、冠攣縮性狭心症の診断・治療に関するガイドラインの現状と今後の展望などを包括的に議論したい。とくに若い循環器内科医に向けて虚血性心疾患における冠攣縮の臨床的意義を再認識していただく一助としたい。

『レジストリー研究をACS診療に活かす』

座長
木村 剛  (京都大学医学部附属病院 循環器内科)
安田 聡  (国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
座長のことば
過去数十年の間、急性冠症候群(ACS)に関する様々な臨床研究が行われ、エビデンスが報告されてきた。その結果を元にガイドラインが作成され、ACS患者の診療は大きく変化してきた。ランダム化比較試験はエビデンスレベルの高い研究とされ、これまでのエビデンス構築に果たしてきた役割は大きい。しかし、エビデンスやガイドラインに基づいた診療が実際の臨床現場でどのように行われ、どのような結果をもたらしているかについての検証も同様に重要である。ACSのエビデンスの多くは欧米人を対象とした研究によるものであり、体格や遺伝的背景、医療環境の異なる日本人において欧米のエビデンスをそのまま適応できるかどうかについても確認する必要がある。レジストリー研究は実臨床の情報を得るのに有用であり、疾患の診断、管理、治療に関するリアルワールドデータを収集し、解析することで現状の医療の問題点、改善点を明らかにすることができる。更に近年日々生産される電子化された診療情報を疾患レジストリーへとリンクすることも可能となっている。レジストリーも変化してきており、ACSに代表される循環器疾患の「知識の生成」について討論したい。

『ACS診療の時間軸に沿ったチーム医療の役割』

座長
木村 一雄 (横浜市立大学総合市民医療センター)
藤田 英雄 (自治医科大学附属さいたま医療センター)
座長のことば
急性冠症候群(ACS)は時間と共に病態・予後が変化することから、とりわけST上昇型心筋梗塞(STEMI)においては全虚血時間の短縮は治療目的の大きな柱であり “Time Is Myocardium”と表現される。これまでDoor to Balloon Time(DTBT)短縮の重要性は広く認識され、施設内での多職種によるチーム医療が数多く実践されてきた。さらに近年、発症からの時間(Onset to Balloon Time: OTBT)短縮の重要性において心電図を軸とする救急搬送から始まるプレホスピタル領域からの施設内外を越えたチーム医療、さらにはImpella®など新技術の導入で心原性ショック例におけるDoor to Unload Time(DTUT)短縮の重要性など新たな医学的知見も加わり、いまだ発展途上である時間軸医療はその目的・方法論を含めて検討をかさね、経験や実証とともに推進されるべきものとなろう。
そこで、本セッションでは、ACS診療の時間軸に沿ったチーム医療は「何を目的とし」、今後「何が重要」で「何をすべきか」、更に「どのような職種」が「どのような役割」をもってチームビルディングをしていくか、先進的な取り組みを実践されている施設からの発表をいただき、今後のありかたや方向性について議論を深めたい。

『進化した心臓MRI心筋組織評価を語る』

座長
佐久間 肇 (三重大学医学部附属病院 放射線科)
前川 裕一郎(浜松医科大学 内科学第三講座)
座長のことば
心臓MRI検査では、シネMRI、造影剤T1 mapping、T2強調画像MRIとT2 mapping、負荷・安静時心筋血流MRI、遅延造影MRI、造影後T1 mappingなどが行われ、心筋組織性状を様々な側面から多元的に診断することが可能となり、予後予測における有用性も集積されている。この中で、心筋組織評価において遅延造影MRIの果たした役割は大きく、DCMにおける心筋中層線維化は患者の予後、特に不整脈死のリスクと密接な関連を有することが知られている。遅延造影MRIは心筋線維化の非常に優れた診断法であるが、びまん性線維化の検出や、線維化の定量的評価が難しい問題があった。T1 mappingを用いると、造影前の組織固有のT1値から組織性状を推定できるだけでなく、造影前後の心筋と左室内腔血液のT1値を測定し、細胞外容積分画(extra-cellar volume:ECV)を定量的に計測することができる。T1マッピングはFabry病や心アミロイドーシスの診断に不可欠であるだけでなく、DCMやHCM、高血圧やASによる肥大心などの心筋組織性状評価に広く用いられている。最近ではfeature tracking法が急速に進歩し、通常のシネMRIから心筋ストレインマップを得ることができるため、心筋組織性状と心筋ストレインを総合的に把握することが可能になっている。

『日常臨床に活かす心筋ストレイン解析』

座長
大倉 宏之 (岐阜大学大学院医学系研究科 循環病態学)
土肥 薫  (三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学)
座長のことば
2000年代初旬にスペックルトラッキング法が登場し、ストレイン計測を用いた心筋機能評価に関する臨床研究は急速に進歩しました。ストレインに関連する研究の発展に伴い、様々な疾患・病態に対する知識も深まり、心臓病学の発展に寄与しました。現在、心エコー図法を用いたストレイン計測が日常診療にも普及するようになり、診断や病態理解のみならず、心血管イベントのリスク管理、予後推定、がん治療におけるスクリーニングやモニタリングなど、幅広い領域で活用されております。本セッションでは、各施設の取り組み、新たな技術の活用法、更には将来展望についても紹介していただき、活発な議論に繋げたいと思います。

『慢性心不全看護認定看護師の役割と将来像』

座長
吉川 勉  (日本心臓血圧研究振興会 榊原記念病院)
林 亜希子 (北里大学病院 看護部/
北里大学看護キャリア・開発研究センター)
座長のことば
慢性心不全看護認定看護師は一期生の誕生から7年が経過し、現在約400名が全国で活動している。ここ数年の間に心不全医療、患者を取り巻く環境は変化し、認定看護師に期待される役割も拡大・変化しつつある。SHDに対するTAVIやMitra Clipといった低侵襲のカテーテル治療が導入され、特に高齢心不全患者の治療の選択肢が広がった。緩和ケア・ACPも注目され、患者・家族の意思決定支援がますます重要となり、多職種連携は必要不可欠である。また、脳卒中・循環器病対策基本法が成立し、循環器病の予防や、stage A・Bの予備軍への心不全発症予防への介入も重要視されている。さらには、超高齢多死社会を迎えつつあるわが国において、病院中心の医療から地域・在宅への移行が進められている。地域包括ケアシステムの中での地域連携、在宅療養支援の強化が求められ、また厚生労働省が制定した特定行為研修制度の推進により、2020年度からは認定看護師教育に特定行為研修を統合した「新たな認定看護師教育」も開始される予定である。本セッションでは、このような変化の中で「多職種連携」「地域連携」「意思決定支援」「緩和ケア」「心不全予防」「特定行為研修」をキーワードに、慢性心不全看護認定看護師の役割を今一度振り返り、変わりゆく環境の中で認定看護師がどうあるべきか、その将来像を考える機会としたい。

『心臓のロボット支援手術』

座長
小林 順二郎(国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
天野 篤  (順天堂大学医学部附属順天堂医院 心臓血管外科)
座長のことば
現在本邦ではロボット支援手術機器として、ダヴィンチ・システムが広く導入され、保険診療として前立腺癌の手術治療に用いられている。心臓外科手術においては、2018年4月に胸腔鏡下弁膜症手術が、新たに保険償還され、多数例で安全性を期するため、全例のNCD事前登録を行うことと、ロボット心臓手術関連学会協議会」を設置して、学会との協力体制のもとに施設・術者の認定や教育を行うことで、ロボット支援下僧帽弁形成術は施行する施設と症例数が徐々に増加している。この手術は通常のMICSによる僧帽弁形成術と、セットアップに関しては同じところもあるが、手技そのものは、ロボット手術支援機器を用いるという点において、変更する必要があると考えられる。また、手術を成功させるためには、患者へのシステムのドッキングやインストルメント交換、触覚の無い遠隔操作という点において習熟しないと難しいところも多い。ロボット支援下心臓手術は術者とチームの協力が重要で、術者のトレーニングはもちろんのこと、patient side surgeon、看護師や臨床工学技士、麻酔科を含めたチーム作りとトレーニングが重要であると思われる。保険償還後1年以上経過した現時点での、本邦での心臓のロボット支援手術の現状と問題点、そして将来の展望を明らかにしたい。

『心血管病における再生医療』

座長
福田 恵一 (慶應義塾大学病院 循環器内科)
家田 真樹 (筑波大学医学医療系 循環器内科)
座長のことば
近年のバイオテクノロジー研究の発展は目を見張るものがあり、こうした先端技術を臨床医学の領域に応用しようという流れは日々加速している。こうした潮流は臨床医学を大きく変革することが期待される。山中伸弥教授が開発したiPS細胞もヒト疾患の病態解明や再生医療に応用されようとしている。既に網膜の脈絡膜細胞は加齢黄斑変性症に、ドパミン作動性神経細胞はパーキンソン病の治療に応用され、現在臨床治験が進んでいる。これに対し、心血管領域では難治性重症心不全に対し、ヒト再生心筋細胞を利用した再生医療が臨床応用直前の段階になっている。現在臨床応用されている領域に比較すると、心臓領域の再生医療は破格に多い細胞を必要とすることや、移植の技術的な問題もあり、その難易度は極めて高いものがある。しかし、この領域にはさまざまな優秀な研究者が揃っており、多くの課題を克服している。また、近年では線維芽細胞複数の遺伝子を導入することにより、直接心筋細胞を分化誘導する方法も開発されており、この領域の発展も期待される。本シンポジウムでは、この領域の代表的なトップランナーの先生方にお集まり頂き、その現状と今後の展望をお話頂く予定である。

『近未来の開業医像の方向性』

座長
大西 勝也 (大西内科ハートクリニック)
横山 広行 (横山内科循環器科医院)
座長のことば
従来、クリニック開業医はかかりつけ医として期待されており、現在の実地診療におけるかかりつけ医としての機能は、今後ますます充実していく方向に進むであろう。一方、老齢化社会が進むにつれ、外来機能が病院からクリニックに大きくシフトしていく中、多様なクリニック像が求めれるのも事実である。循環器クリニックも、病診連携ではなく、診診連携として、非循環器クリニックやさらには循環器クリニック同士でも、連携することが近未来のクリニック像ではないかと考える。このような観点から、それぞれ独自の専門性を打ち出すクリニックも増えてきている。透析クリニックとして開業している腎臓内科医のように、循環器疾患を持つ患者の多様なニーズに対応すべく、クリニックも多様であることが望まれる。例えば、心不全患者の看取りを中心としたクリニックは、高齢化社会では、今後ますます活躍が期待される。大きなチームとして活動しているクリニックもあれば、小さな規模で活動しているクリニックもあり、在宅医療は地域地域の特性を生かした個性が望まれる。心臓リハビリに力を入れたクリニックは健康寿命延伸のために重要である。画像解析を中心としたクリニックは、新しい診診連携の形を提供してくれる。このように、既存の循環器クリニックの機能に加え、新しい試みをされているクリニックから、その試みとそのノウハウ、さらには未来の可能性を紹介いただく。

全身を診る・心臓をみる

『透析患者のトータルマネージメント』

座長
大屋 祐輔 (琉球大学医学部 循環器系総合内科学)
田村 功一 (横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学)
座長のことば
世界的に増加しつつある慢性腎臓病(CKD)、そして透析・移植が必要なまで進行し、不可逆的とされる末期腎不全は、それ自体、および病態連関機序により引き起こされる高血圧、脳心血管病と相まって、社会が求める健康寿命の延伸にとっての大きな障害となっている。また、日本透析医学会の調査では、2017年末の状況では、慢性透析患者の死亡原因は、多い順から心不全、感染症、悪性腫瘍、脳血管障害であり、心不全が24%で最多である。そのような状況下、2018年7月には厚労省と日本腎臓学会など関連団体からは、今後、少なくとも10年間の日本の腎疾患対策の基本となる「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患対策の更なる推進を目指して~」が発出され、「CKDを早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期 から実施・継続することにより、CKD重症化予防を徹底するとともに、透析患者及び腎移植患者を含むCKD患者のQOLの維持向上を図る」ことが全体目標とされた。特に透析患者では心血管合併症のリスクが著しく増加し、例えば、日本透析医学会からは「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」などが発表されている。一方、保存期CKDでは動脈硬化と密接に関連している血圧、糖脂質代謝、尿酸代謝などの危険因子の管理・治療の意義についての透析患者におけるエビデンスは必ずしも十分ではなく、またカルシウム・リン代謝や腎性貧血の管理・治療の意義についても十分に明らかにされていない。このような現況のもと、本セッションでは、腎疾患対策検討会報告書の概要の紹介、透析患者の心血管病予防管理に関連する最近の話題の提供をしていただく予定である。

『膠原病患者の心血管疾患を管理する』

座長
前村 浩二 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学)
中島 亜矢子(三重大学医学部附属病院 リウマチ・膠原病センター)
座長のことば
膠原病は、種々の臓器に炎症や障害をきたす『全身性』の自己免疫性疾患である。膠原病では、疾患自体により、また治療薬等の影響により、心筋・弁、大血管・末梢血管・肺循環、さらには不整脈や血栓など循環器系にさまざまな病変をきたし得る。一方、循環器系はその中枢である心臓から末梢に至るまで、酸素と栄養素、炎症・免疫にかかわる細胞や液性因子を運ぶ重要な道であるのみならず、すべての臓器のバランスを制御する司令塔であり、循環器疾患はまさに『全身性』疾患である。近年、膠原病と循環器の双方が関わるさまざまな疾患において、診断・治療は進歩し、そして医療者は専門的知識を持していることが要求されるようになった。診療科スタッフが協力したチーム医療により、より良い治療・安全性の確保が求められている。膠原病医は免疫抑制療法、循環器医は侵襲的治療ができることがそれぞれの強みである。しかし、現時点では、診療科間でのチーム医療体制が形成されている施設は必ずしも多くはなく、両診療科の利点が十分生かされているとは言い難いのが実情であろう。
今回、会長特別企画枠で本シンポジウムが開催される。膠原病と循環器の双方にとって、現在重要かつホットな疾患(群)である『心筋障害』『肺高血圧症』『血栓症と抗リン脂質抗体』を取り上げた。それぞれ第一人者の膠原病医、循環器医の先生方に、各疾患について双方の立場からご講演をいただくこととした。本シンポジウムが、お互いの診療科の立場や利点を理解して連携し、明日からの診療に役立てる機会となると確信している。

『最新の感染性心内膜炎診療』

座長
江石 清行 (長崎大学 心臓血管外科)
泉 知里  (国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
座長のことば
感染性心内膜炎は、菌血症、血管塞栓、心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である。
まさに「全身を診て」、診断・治療を進めていくことが要求される心臓疾患である。最近、多職種からなるハートチームで診療を行うことの必要性が強く勧められているが、感染性心内膜炎こそ、ハートチームによる多面的なマネージメントが必要となる。
画像診断の進歩は目覚ましいが、人工弁症例などいまだに診断に難渋する症例があり、また抗菌薬投与下の症例や特殊な原因菌による、血液培養陰性例での細菌学的診断など、診断面でも、多くのトピックスが存在する。心外合併症に対する手術時期や適応の決定、心臓以外の処置を優先すべきかなどについても、議論の残るところである。
さらに予防に関しては、日本のガイドラインでは欧米のガイドラインとは異なる立場を示している。歯科医との連携の重要性にも触れており、そのような側面からも、感染性心内膜炎を考える必要がある。
このセッションでは、患者の予後改善のための、早期診断・早期治療、さらに発症予防の観点から、感染性心内膜炎について再度見直し、広い分野にわたって議論をしたい。

『心臓病における感染制御チームの役割』

座長
高瀬 凡平 (防衛医科大学校病院 集中治療部)
田辺 正樹 (三重大学医学部附属病院 感染制御部)
座長のことば
薬剤耐性(AMR)が世界的な問題となっていることを受け、院内感染対策や抗菌薬適正使用の推進が求められている。循環器領域の難治性感染症として、感染性心内膜炎、人工弁感染、グラフト感染などが挙げられるが、デバイス治療の進歩・普及に伴い、今後、デバイス感染や集中治療領域での感染症も大きな課題になってくると思われる。ICU/CCU/NICUにおける感染対策の取り組み、口腔ケアの取り組み、各種デバイス感染対策、心臓手術部位感染対策、循環器領域における抗菌薬適正使用、CHDF施行時の抗菌薬の投与設計など、循環器領域の感染関連の課題も多い。本シンポジウムでは、「心臓病における感染制御チームの役割」をテーマに、循環器領域の感染対策を発展させていくための機会にできればと考えている。循環器診療に関わる医師に加え、感染制御チーム(ICT)/抗菌薬適正使用支援チーム(AST)活動を行っている医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師等からの視点も踏まえ、幅広く議論したい。

『心・腎・貧血連関の解明はどこまで進んだか?』

座長
増山 理  (独立行政法人 地域医療機能推進機構 星ヶ丘医療センター)
三浦 哲嗣 (札幌医科大学医学部 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学)
座長のことば
イスラエルのSilverbergらは、心・腎・貧血連関(Cardio-renal anemia syndrome)という概念を2002年に提唱した。心不全、腎不全、貧血が互いに悪影響を及ぼしながら負のスパイラルを描いて患者の予後を悪化させていく、という概念である。この概念が提唱され、心不全の病態における貧血の重要性が広く認識されるようになり、そのメカニズムや治療介入について新たな知見が見出されてきた。心臓と腎臓は血圧や体液調節において密接な関係があり、一方が障害されると他方も障害されることが多いが、貧血はその両方に影響を与える。この貧血の成因には、エリスロポエチン産生障害、慢性炎症のほか複数の機序の関与が示唆されている。貧血は心不全患者の予後規定因子であるが、なぜそうなのか、治療介入すべきなのか。心・腎・貧血連関が提唱されて十数年経過するが、心・腎・貧血連関の解明はどこまで進んだのか。本セッションでは、心・腎・貧血連関について最新の知見の共有と革新を目標にディスカッションを行いたい。

『心臓病における睡眠時呼吸動態と治療介入』

座長
渡辺 昌文 (山形大学医学部附属病院 内科学第一講座)
木原 康樹 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科 循環器内科学)
座長のことば
近年心臓病と呼吸障害との関係が注目され、様々な視点からその解析が行われている。その結果、睡眠時無呼吸症候群と夜間高血圧、発作性心房細動、急性冠症候群、突然死、慢性心不全などについて一定の理解が得られてきている。とりわけ、慢性心不全のような肺うっ血、心拍出量減少、循環時間延長、あるいは交感神経興奮などの病態因子が複雑に関連する生体内環境では、呼吸の不安定性が容易に誘導されることが示され、呼吸障害が心不全患者から快適な睡眠を奪うばかりか増悪や再入院の契機となっていることが解明されてきた。それら対象者に対するASVを中心とする機械的呼吸補助介入の有効性が本邦の研究者から多く報告されている一方で、患者生命予後をむしろ短縮するとの国際的研究結果も示され、どの患者にどのように機械的補助を導入するべきなのかについては明確な結論が得られていない。本企画においては、慢性心不全における呼吸障害の病態生理を概括しながら現在の知見を整理し、今後求められる視点の方向性を共有したい。

『進化する心アミロイドーシスへのアプローチ』

座長
近森 大志郎(東京医科大学 循環器内科学分野)
矢野 雅文 (山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学)
座長のことば
心アミロイドーシスはかつては拘束型心筋疾患の代表例であったが、比較的稀で、診断しても治療法がなく予後も不良であった。ところが、多発性骨髄腫の化学療法の発展、特にボルテゾミブの臨床応用によりAL型心アミロイドーシスの予後の改善が報告されるようになった。一方、高齢者に多いトランスサイレチン(TTR)型心アミロイドーシスにつては骨シンチグラフィによる非侵襲的な診断精度の向上が報告されると、収縮能の保持された心不全(HFpEF)には10~20%の頻度でTTR型心アミロイドーシスが存在することが報告されるようになった。このため、日常臨床ではHFpEFとして取り扱われることが多い肥大心の鑑別においても、Fabry病とともにTTR型心アミロイドーシスの鑑別診断が注目されている。さらに、昨年報告されたATTR-ACT試験においてtafamidisの有効性が実証された。このため、治療を念頭に置いた心アミロイドーシスの早期診断が強調されるに至っている。
以上より、本シンポジウムでは心アミロイドーシスのアプローチに焦点を当て、本疾患を疑う臨床像と診断法(プロセス)のアップデートを行う。さらに、一般的治療および原因療法を含めた治療法の進展を発表し、心アミロイドーシスのマネジメントがどのように進化しつつあるのかについて討議を深める。

『HFpEF診療における治療ターゲットを再考する』

座長
南野 哲男 (香川大学医学部・医学系研究科 循環器・腎臓・脳卒中内科学)
岸 拓弥  (国際福祉大学 福岡保健医療学部)
座長のことば
LVEFの保たれた心不全である「HFpEF」に対する薬物療法として、死亡率や臨床イベント発症率の低下効果が前向き介入研究で明確に示されたものはない。したがって、現段階では、心不全症状を軽減させることを目的とした負荷軽減療法、心不全増悪に結びつく心血管系併存症(心房細動、高血圧、冠動脈疾患、肺高血圧など)と非心血管系併存症(糖尿病、CKD、貧血、COPDなど)に対する治療法を行うことが基本となっており、HFpEFの病像をより細かく解析し、ヘテロな疾患を解きほぐしていく取組みが求められている。それに応えるように、HFpEFを対象とした大規模なデータベース研究、SGLT2阻害剤などの薬剤介入試験、疾病管理プログラム・包括的心臓リハビリテーションによる予後改善効果の検証が進んでいるようである。さらに、HFpEFを診療する際には、HFpEFと定義して思考停止に陥ることなく、どの臓器がなぜ不全になっているかを考え、治療ターゲットが何かを個別の症例で見極めることが不可欠である。そこで本企画では、「HFpEF」、「治療ターゲット」、「再考」を敢えてキーワードとした。HFpEFに分類される心不全患者において、心臓・腎臓・神経体液性因子・内分泌代謝異常や基礎疾患、様々な病態修飾因子について、さらにはその知見に基づく治療ターゲットについて、各領域のエキスパートに現状のレビューと具体的な展望を大いに語っていただき、HFpEFの診療で日々苦悩する現場の医療関係者へのナッジとなるようなセッションにしたい。HFpEFの深層に挑んでいる多くの関係者からの応募を期待する。

『劇症型心筋炎に立ち向かう』

座長
絹川 弘一郎(富山大学大学院医学薬学研究部 内科学第二講座)
今中 恭子 (三重大学大学院医学系研究科 基礎医学講座 修復再生病理学分野)
座長のことば
劇症型心筋炎は結果論の診断名であり、初期診断で劇症化するかどうか判断することは困難である。このセッションでは急性心筋炎の初期診断について危険な兆候をいかに見逃さないか、画像診断で有用なものは何か、などを議論したい。また診断に欠かせない心筋生検とその解釈、鑑別すべき他の病態について病理の専門的見地からディスカッションいただく。さらに劇症化した場合に必須なVA-ECMOのシステム構成とタイミング、ECMO離脱可能な指標、併用する薬物治療の可否についても論じたい。その一方で、VA-ECMOをいたずらに長引かせることは臓器障害を不可逆的に悪化させてしまうので、さらに強力な補助循環可能な施設に搬送する時期についても検討を要する。そして、高度専門施設においてVA-ECMOのシステムをどう変更するのが良いか、IMPELLAの出番はあるのか、左室ベントをいかに活用するか、VV-ECMOの併用はどうするか、など論じることは尽きない。その中で少数ながら長期化して体外設置型へ移行することもあり、その中で離脱可能な症例はあるし、一方で植込型LVADへのブリッジ移植待機まで見据えることも必要である。上記のような流れを想定して、多数の公募をお待ちしております。

『高齢心不全患者のトータルマネージメント』

座長
南野 徹  (新潟大学大学院医歯学総合研究科 循環器内科)
大石 充  (鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学)
座長のことば
人生100年時代を迎えるとともに、心不全パンデミックの時代が訪れようとしている。特に高齢化が進むことによって、収縮障害を伴わない非代償性心不全(HFpEF)の発症率が増加しており、社会問題化している。HFpEFの病態生理機構は未だ不明であるが、高齢者心不全患者においては、高血圧などによる血管障害、糖尿病・メタボリック症候群をはじめとした代謝障害、心房細動に代表される不整脈など、様々な全身性疾患が合併していることから、これらの疾患が基本病態となっていると考えられている。実際、最近のNature誌に、高カロリー食とNO合成阻害薬を組み合わせたプロトコールによる新たなHFpEFマウスモデルが発表されたことから、HFpEFの病態生理には全身性の疾患(特に小胞体ストレス異常)が関与していることが明らかとなった。さらには高齢者特有のフレイル・サルコペニアといった全身的な問題も心不全治療に大きく関係する。このような問題点もあり、現時点において高齢者のHFpEF患者に対する薬物治療は利尿薬に限られており、抜本的な治療方策がたてられていない状況である。そこで本シンポジウムでは、高齢者心不全の早期診断やその予防、治療や再発抑制の方策を含めた幅広い観点からその議論をすることで、「理想的な高齢心不全患者のトータルマネージメントとは何か?」について明らかにしたい。

『わが国におけるCardio-Oncologyの広がり』

座長
大手 信之 (名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学)
中谷 敏  (大阪大学医学部 保健学科)
座長のことば
分子標的薬をはじめとした新規がん治療薬の開発によってがんの治療成績が向上し、高齢者人口の増加とあいまっていわゆるがんサバイバーが増えている。以前より、アントラサイクリン系薬剤の心毒性や放射線治療後の動脈硬化や拡張障害などが知られていたが、それに加え治療薬の心血管毒性に基づくがん治療関連心機能障害(cancer therapeutics-related cardiac dysfunction、CTRCD)が問題となってきた。この問題にアプローチするのがCardio-Oncologyと呼ばれる学際領域であり、ここでは腫瘍専門医と循環器内科医のみならず、看護師、薬剤師との連携が必須である。さらにCTRCDを早期に検出する手法として心エコー図検査が注目されており、検査部門との協力も欠かせない。米国に遅れること約10年、わが国では2011年に初めてがんセンター内にCardio-Oncology部門が設立され、また2017年には腫瘍循環器学会が設立されるなどしてこの分野の診療、研究の必要性が徐々に認識されてきている。しかし知識不足、マンパワー不足のために、いまだ十分な体制が整備されているとはいいがたい。本セッションでは多職種連携が必要とされるCardio-Oncologyにおいて、CTRCDについての啓発活動、実態調査、発症予測についての研究、早期発見のための手法の開発とその効果など基礎的、臨床的な取り組みを紹介いただき、この分野の発展に資するものとしたい。

『周産期と心臓病:周産期心筋症』

座長
池田 智明 (三重大学大学院医学系研究科 産科婦人科学教室)
白石 公  (国立循環器病研究センター 教育推進部)
座長のことば
周産期心筋症は、心疾患既往のない女性が、妊娠から産後に心機能低下に伴い心不全を発症する、未だ原因不明の心筋症である。わが国の全国調査における推定発症率は、1/15,553分娩と決して多くはないが、約1割の患者が最重症化(死亡もしくは心移植待機)しており、主な母体死亡原因の一つである。しかしながら、半数以上の患者は、比較的短期間に心機能が正常範囲まで回復しており、類似の病態である拡張型心筋症とは異なる点でもある。
周産期心筋症は、他に心機能低下を惹起する原因を認めないときに診断される「除外診断病名」である。そのため、「heterogeneousな疾患群」であり、心機能予後の差異は、疾患背景が異なるためとも考えられる。日本の全国調査では、妊娠高血圧症候群を背景とした患者では、心機能正常化率が高い一方、国際的遺伝子解析研究では、患者の15%に拡張型心筋症関連遺伝子変異を認め、変異陽性患者の慢性期心機能は、変異陰性患者に比較して有意にことが判明している。
近年、基礎実験を基に、血管障害物質など病因についての報告が相次いでいる。これら、最新の基礎研究や臨床研究に関する知見、疫学、鑑別診断と治療法、そしてわが国初の診療ガイドラインの概要説明など、周産期心筋症を深く掘り下げる内容にしたい。

シンポジウム

徹底討論

『重症急性心筋梗塞に挑む』

座長
上妻 謙  (帝京大学医学部 循環器内科)
宮崎 俊一 (近畿大学医学部附属病院 循環器内科/
大阪府済生会富田林病院)
座長のことば
従来、集中治療の領域においては急性心筋梗塞を筆頭に様々な循環器系疾患に対して循環器内科医が対処していた。一方、近年になり救急専門医の登場によって循環器内科医が活躍する場が減少しているように思われる。恐らく、急性心筋梗塞に対してPCIによる再灌流療法が普及した結果、短期間で退院する症例が増加したことが主な理由ではないかと思われる。このために循環器専門医といえどもIABPの経験がなかったり、心不全に対してSwan-Ganzカテーテルを用いて治療したことがないといったことを見聞きするようになった。確かにPCIによる予後改善は明かであるものの、右室梗塞や機械的合併症例などの治療に難渋する症例も存在する。そこで本セッションでは自施設の経験を踏まえて治療困難な重症例に対して、どのように対応すべきかを発表して頂く。実際には循環管理だけでなく呼吸や脳循環、感染症などへの対応も必要となるが、一般救急医と循環器内科医が集中治療の現場でどのように業務を実施していくのかも経験を含めて発表して頂きたい。さらに循環器救急および重症例への対応について若い循環器内科医が十分なスキルを得るためには、どのような工夫が必要かも併せて議論したい。

『末期腎不全患者の冠動脈治療戦略』

座長
赤阪 隆史 (和歌山県立医科大学 循環器内科)
長谷 弘記 (東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科)

『レジェンドとU-40が語る心不全診療の将来像』

座長
和泉 徹  (恒仁会新潟南病院 循環器内科学)
谷口 達典 (大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
座長のことば
心不全はあらゆる心疾患の終末像であり、高齢化に伴いその患者数は著しく増大している。そして、その心不全診療もこの数十年の間にそれ自体の概念が変遷するだけでなく、様々な新規治療デバイス、画像診断法、緩和医療など様々な医療が生まれてきた。
U40心不全ネットワークは、2013年に設立された、「心不全」に興味を持つ日本の40歳以下の医師達が集うグループである。「臨床」、「教育」、「研究」を3つの柱に据え、現場の最前線で医療に携わる若手医師達が中心となって、日々研鑽を積んでいる。「臨床」、「教育」に関しては、年に一度のフェローコースを実施し、分野ごとのエキスパートによるレクチャー、活発な症例検討を行いながら、各施設の治療方針などについて議論を行っている。また「研究」に関しては、当ネットワーク発の多施設前向き心不全レジストリであるREALITY-AHF研究を実施し、全国の施設の若手を中心に、海外の医学雑誌をはじめとしてすでに数著の論文が輩出されている。本セッションでは、U40心不全ネットワークにおけるこれまでの取り組みや、各分野における新進気鋭の若手医師の臨床・研究を共有し、これまで日本の循環器医療に長らく関わってきた循環器医療界のレジェンドとディスカッションすることで、今後の日本におけるU40心不全ネットワークの可能性について模索したい。

『三尖弁閉鎖不全症の病態と治療』

座長
瀬尾 由広 (筑波大学 循環器内科)
新保 秀人 (三重県立総合医療センター 心臓血管外科)
座長のことば
三尖弁閉鎖不全は頻繁に遭遇する弁膜症であり、左心系疾患に併発することが多い。特に僧帽弁疾患や左室機能不全による二次的な肺高血圧に生じた右心不全によって発症し、心房細動の合併が閉鎖不全増悪を助長することが知られている。このため、内科的な治療でコントロールを試みることが多く、左心系の重症弁膜疾患に併発しない限り、積極的に手術介入が行われることは少ない。そして右心不全は左心不全に比較して症状が乏しいため、その間に他臓器不全が進行して手術機会を失うこともある。近年、右心不全の予後への影響が注目されるようになり、三尖弁閉鎖不全への関心も非常に高まっている。しかし、未だ侵襲的介入については躊躇されるケースも少なくないことから、本セッションでは、三尖弁閉鎖不全の病態について、その臨床的な重要性についてレビューを行ったうえで、治療方針の決定から治療方法について取りあげる。特に三尖弁閉鎖不全の単独治療介入について、一般成人例ならびに成人先天性疾患においても焦点を当てる。また、僧帽弁閉鎖不全で応用が開始されたカテーテル治療が、将来三尖弁閉鎖不全の治療法としても期待されおり、手術介入との適応の違いや海外での成績を紹介する。このように、注目すべき三尖弁閉鎖不全に関する話題を取り上げる本セッションを通して、病態把握や治療方針決定の一助となる情報共有ができることを期待したい。

『僧帽弁閉鎖不全治療の最前線』

座長
江石 清行 (長崎大学病院 心臓血管外科)
中谷 敏  (大阪大学医学部 保健学科)
座長のことば
僧帽弁閉鎖不全症は一次性、二次性に分けられる。近年、その病態理解が進歩し二次性閉鎖不全症ではventricular tetheringのみならずatrial tetheringといった概念も出てきた。さらには不整脈を起こしやすい僧帽弁逸脱症の一群があること、およびその特徴も知られるようになってきている。治療法の進歩も著しい。従来は二次性閉鎖不全症の一部に行われる薬物治療やCRTなどを除いては、僧帽弁形成術や僧帽弁置換術といった外科的治療が主体であったが、低侵襲性を求める現在ではハイリスク症例を対象にカテーテルを用いて前後弁尖をクリップで留め逆流をコントロールする治療法が広く行われるようになってきている。また外科的治療においても小切開手術のみならずロボットを用いた手術を行う施設が増えてきた。さらに諸外国では、どんどん開発される新しいデバイスを用いてのカテーテルによる僧帽弁形成術や僧帽弁置換術も行われており、これらは近い将来わが国にも導入されると予想されている。本セッションでは僧帽弁閉鎖不全症の病態に基づいた種々治療とその治療成績を紹介いただき、その効果と問題点を整理するとともに、将来の展望についてディスカッションしたい。

『長期持続性心房細動に対する治療戦略』

座長
山下 武志 (心臓血管研究所)
庭野 慎一 (北里大学医学 循環器内科)
座長のことば
心房細動に対する非薬物治療は、近年医用工学の発展とともに目覚ましい進歩を遂げた。その治療成績、および安全性は確保され、本邦では毎年数万人規模でカテーテルアブレーションが行われる現況になっている。発作性心房細動で確立されたアブレーションの方法は、やがて持続の比較的短い持続性心房細動でもほぼ同等の有効性が示されるに至っているが、現在の限界はその先にある。長期持続性心房細動になると、患者背景の多様性もあいまってその治療成功率は大きく低下してしまう。この病態に対して、さまざまなアブレーション法が試行錯誤的に行われてきたが、いまだ決定打を欠くというのが実情である。この残された課題は、いますべての不整脈医にとってオープンかつチャレンジングな、古くて新しいテーマである。本シンポジウムでは、現況のオーバービューから、新しい着想に基づいた将来構想まで広く発表を公募したい。

『心疾患合併ハイリスク妊娠の管理』

座長
丹羽 公一郎(聖路加国際病院心血管センター 循環器内科)
神谷 千津子(国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部)
座長のことば
先天性心疾患の治療成績の向上や、遺伝性循環器疾患の診断率の増加、母体の高年化などを背景に、心疾患合併妊娠数は増加傾向にあり、わが国においては、器質的心疾患女性の妊娠は総妊娠の0.5~1%、不整脈を含めれば2~3%に及ぶとされる。「心疾患をもっているから、妊娠・出産は不可」と一律に禁止されていた時代は過ぎ、多くの心疾患を持つ女性が、妊娠・出産を比較的安全に行えること、その反面、一部の病態では非常にリスクが高いことも分かってきた。
妊娠中には、ダイナミックな体液循環の変化のみならず、血液学的、呼吸機能的、内分泌学的、自律神経学的な変化をきたす。心疾患合併女性においては、基礎疾患にこのような変化が加わることによる事前の妊娠リスク評価、カウンセリングや、妊娠した際の多職種連携による診療体制の構築が重要な課題である。
わが国や欧米のガイドラインでは、妊娠がハイリスクもしくは非常にハイリスクとなる疾患や病態として、肺高血圧症、流出路狭窄、重症心機能低下、大動脈拡張を伴うマルファン症候群、チアノーゼ性心疾患、機械弁置換後、Fontan術後、右室体心室などが挙げられている。本セッションでは、広い領域の専門的立場から、このようなハイリスク心疾患合併妊娠の管理をめぐる問題を提起していただき、ハイリスク妊娠の症例検討を交えながら討論したい。

症例から深く学ぶ

『非心臓手術周術期の心血管イベント』

座長
渡邊 博之 (秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系 循環器内科)
亀井 政孝 (三重大学医学部附属病院 臨床麻酔部)
座長のことば
従来の非心臓手術周術期心血管イベントは、心筋梗塞(1型&2型)と心筋傷害(急性&慢性)が話題の中心でした。しかし、最近は虚血性脳卒中、術前心不全分類(HFrEF;HFpEF;HFmrEF;HFrecEF)の影響、術前・術後新規発症心房細動の影響などに興味が移ってきています。これは、心筋梗塞・心筋傷害の発生率、死亡率が近年減少傾向にあり、血管外科、胸部外科、移植外科を除いた非心臓手術の周術期にはほとんど合併しなくなったことによると思われます。
本シンポジウムは、今後トピックとなることが予想される症例について深く学んでいただくことを目的とし、循環管理のエキスパートである循環器内科医の先生だけでなく、術中・術後集中治療における循環管理に精通する麻酔科医・集中治療医の先生をシンポジストとしてお招きいたしました。周術期心血管イベントのリスクが高い手術は、大手術だけではないことを再認識していただけるような症例(慢性血栓塞栓性肺高血圧症、閉塞性肥大型心筋症、急性大動脈解離の妊婦および成人先天性心疾患)を選んでおります。特に心血管イベント予防・対処法を中心に、術前・術後管理について多方面から議論を深めてまいりますので、若手からエキスパートの先生方まで存分にお楽しみいただけるものと思います。
会場でお会いすることを楽しみにしております。

『IgG4関連疾患の心血管病変』

座長
石坂 信和 (大阪医科大学 循環器内科)
陣崎 雅弘 (慶應義塾大学医学部 放射線科(診断))
座長のことば
IgG4関連疾患が本邦で発見されてから、およそ20年が経過した。当初、IgG4関連疾患は、慢性炎症性の膵障害、いわゆる自己免疫性膵炎の病像を呈することが報告されたが、その後、臨床的、病理組織的に類似する病態が、涙腺・唾液腺、腎、リンパ節、心血管などのさまざまな部位に生じることが明らかになった。自己免疫をベースとして発症してくる全身性疾患であると考えられているが、その病態形成の詳細は未解明である。
本疾患を疑わせる動脈周囲病変に、日常診療で遭遇することは稀ではない。他臓器のIgG4関連疾患症例の画像を検討すると、血管病変を3割程度合併していた、という報告もある。
臨床上、より問題となるのは、大動脈瘤の破裂や、冠動脈に多発性の瘤形成が次々に生じてくるケースなど、対応に苦慮するような重症例であろう。そのような重症例に対して、どのように治療をしていけばよいのか、よくわからないところもある。
今回のシンポジウムでは、演者の先生方に症例の提示をいただき、IgG4関連疾患の心血管病変の診断に至る契機や、選択された治療、その後の経過などについてイメージを共有し、また、本疾患のマネージメントのあり方についてディスカッションを行っていきたいと考えている。

『2次性高血圧症の診断と治療変』

座長
北村 和雄 (宮崎大学 内科学講座 循環体液制御学分野)
岡本 隆二 (三重大学大学院医学系研究科 病態制御医学講座 循環器・腎臓内科学)
座長のことば
高血圧症患者の大部分は本態性高血圧症であるが、二次性高血圧症は従来考えられていたより高頻度に認められることが知られてきた。二次性高血圧症は適切な診断と治療により高血圧の治癒が期待できる場合もあり、良好な血圧コントロールが期待でき予後の改善にも貢献できる。一方、二次性高血圧を診断できずに見逃してしまうと本態性高血圧よりも臓器障害が進みやすいことが知られている。そのため、高血圧症の診療のためには二次性高血圧症に対する十分な知見をもち、二次性高血圧症を念頭に置いて診療することが大切である。二次性高血圧症の原因として、比較的頻度の高いものとして、原発性アルドステロン症、腎実質性高血圧症、腎血管性高血圧症、睡眠時無呼吸症候群などが知られているが、これ以外にも多くの原因となる疾患が知られており、興味深い臨床所見を示すものも多い。本シンポジウムでは二次性高血圧症の各症例を十分に考察し討論することで二次性高血圧症の病態を理解し、高血圧診療のレベルアップに貢献したい。また、近年二次性高血圧症については新たな診断法や治療法が進歩してきているが、本シンポジウムで各症例を深く探求することで新たな診断法や治療法に結びつく可能性を探りたい。興味深い二次性高血圧症の症例を経験された多くの先生方の積極的な参加をお願いしたい。

『全身血管病の複雑病変をどう治療するか?』

座長
伊苅 裕二 (東海大学医学部内科学系 循環器内科学)
山岸 正和 (大阪人間科学大学)
座長のことば
血管を一つの体系として考えた時に一臓器の一病変だけに限定していると考えるよりも、全身の血管病の一つしてとらえることが大切です。動脈硬化も全身に多発していることの方が一般的であり、冠動脈だけの病変であることの方がわずかであろうと思われます。一方、下肢動脈に対する動脈硬化性疾患では予後不良にもかかわらず、あまり医療者からも考慮されることが少なく二次予防においても未だ不十分な対応であることも問題です。
さらに、全身血管病変の発症・進展においては、背景となる全身疾患の存在を念頭におくことが重要です。この際、全身疾患として、遺伝性疾患、代謝性疾患、変性疾患など多領域に及ぶ関連疾患が想起されます。また、臨床病型として発症します血管病についても、局在や重症度に差異がみられ、一括して論じることは困難と思われます。本セッションでは全身血管病として発症します諸疾患につきまして代表例を提示して頂き、主として治療的立場から診断、治療、予後などについての議論を深めたいと思います。

『Swan-Ganzカテーテルを見直し、診療に役立てる』

座長
猪又 孝元 (北里大学北里研究所病院 循環器内科)
藤本 直紀 (三重大学医学部 循環器・腎臓内科学)
座長のことば
Swan-Ganz(SG)カテーテルは、経静脈的に比較的容易に挿入でき、心内圧、心拍出量、混合静脈血酸素飽和度等を測定できることから、心疾患患者の治療方針の決定や循環動態の管理上、有用であると以前から考えられてきた。しかし、1990年代後半から2000年前半にかけて、ICU入室中の重症患者におけるSGカテーテルを用いたルーチンの血行動態持続モニタリングが患者の予後を改善させず、むしろ、悪化させる可能性もあることが報告された。最新の日米の心不全ガイドラインでは、患者ごとにSGカテーテルの適応を決めることが推奨され、非代償性心不全患者においてルーチンのSGカテーテルの使用は避けるべきとされている。
急性・慢性心不全、心膜疾患、肺高血圧などを有する患者の治療において、SGカテーテルによる血行動態評価が重要な役割を果たすことも多い。最近の心不全患者を対象とした米国の報告では、2007年以降、SGカテーテルの使用は、高度心不全治療を行う大規模病院や認定教育病院では増加していること、SGカテーテルを用いた治療により院内死亡率は減少傾向にあること、も報告されている。本セッションでは、身体診察や非侵襲的評価に加えSGカテーテルを用いた血行動態評価が治療方針の決定や効果判定に非常に有用であった症例を取り上げ、それらを共有することにより、今後の急性・慢性心臓病患者の診療に役立てることを目的とする。

『CHADS2スコアには現れない血栓リスクとは?』

座長
高橋 尚彦 (大分大学医学部 循環器内科・臨床検査診断学)
奥村 恭男 (日本大学医学部附属板橋病院 循環器内科)
座長のことば
超高齢社会の到来とともに心房細動患者は増加の一途を辿っており、心房細動関連合併症である心原性脳梗塞や心不全の予防が、今後の臨床的な最重要課題となっている。現在、日本循環器学会のガイドラインでは、CHADS2スコアが抗凝固療法の適応に推奨され、臨床的に汎用されている。しかしながら、本邦の3大コホートの抗凝固薬無治療患者において糖尿病や心不全は、脳梗塞のリスク因子とはならず、また欧州で汎用されているCHA2DS2-VASCスコアの一因子である冠動脈疾患や女性も、本邦の脳梗塞リスク因子にはなっていない。さらに、CHADS2スコアを有しない65歳未満でも実臨床で脳梗塞を経験することもあり、人種間や地域間の相違から、本邦では特にCHADS2スコアのみでは脳梗塞リスクの層別化に不十分であると考えられる。現在、知られているその他のリスク層別化因子として、左房径、腎機能、持続性心房細動などは広く報告されており、また、超高齢社会で特異の病態であるフレイルやサルコペニアなどはそのリスクになる可能性もある。加えて、心房細動アブレーションが脳梗塞のリスクを低下させる可能性も報告され始めている。本シンポジウムではこのようなCHADS2スコアでは語り切れない個々の症例につき議論を深めることで、さらなる脳塞栓予防の治療戦略を探求していきたいと考えている。

『肺高血圧症の難渋症例から学ぶ診療のキーポイント』

座長
先崎 秀明 (北里大学医学部附属新世紀医療開発センター)
瀧原 圭子 (大阪大学キャンパスライフ健康支援センター)
座長のことば
肺高血圧症は、かつては有効な治療薬のない難病として知られていたが、我が国においても2005年以降、相次いでエビデンスのある有効な経口肺血管拡張薬の使用が広がり、治療可能な疾患として変貌を遂げている。しかしながら肺高血圧症の病因は多岐にわたるとともに、その発症にはさまざまな要因が関わっているため、確定診断や鑑別診断に難渋する症例が少なくない。肺高血圧症の発症および病態進展には遺伝的要因や環境要因等が関与し、その全容解明には未だ多くの課題が残されている。さらに、第5群には未だ「詳細不明な多因子のメカニズムによる肺高血圧症」として、さまざまな疾患群が含まれている。肺高血圧症は早期診断・早期治療介入が重要であるだけでなく、病態に応じた治療法を選択するためにも、発症機序に応じた個別化医療の実現を目指す必要がある。
本シンポジウムでは診断および治療に難渋する症例提示を通じて、肺高血圧症の新たな発症機序について理解を深めるとともに、病態に基づいた適切な治療法についても総合的に議論したい。

『心不全の発症・予防を意識して心房細動に向き合う』

座長
平光 伸也 (平光ハートクリニック 循環器内科)
中村 真潮 (陽だまりの丘なかむら内科)
座長のことば
高齢化社会を迎え、心不全患者の増加は社会的問題となっている。一方、心房細動も高齢者の増加とともに増加しており、今後最も重要な循環器疾患のひとつになると考えられる。高齢者においては心不全と心房細動が併存している患者が多く、心不全患者の約40%に心房細動を合併していると言われている。心不全患者は、左心房の伸展や交感神経の活性などから心房細動を発症しやすくなる。一方、心房細動では心拍数が増加して左房機能が減弱するため、心不全を発症しやすくなる。実際に心房細動と最も強い相関のある危険因子は心不全である。心房細動患者を外来で診るときには、心不全の発症を想定しながら、診察を進める必要がある。
本セッションでは全国で活躍されている開業医の先生方から実際に診療された症例を提示いただき、日常臨床で遭遇する様々な問題について議論したいと考えている。心房細動を心不全の発症や増悪の危険因子として捉え、心不全の発症予防を目指した心房細動治療が行えるようになるために、聴衆の皆様と深いディスカッションを展開したいと考えている。

『超高齢社会における循環器疾患の包括的治療』

座長
竹内 素志 (医療法人社団 竹内内科)
大島 一太 (大島医院)
座長のことば
近年、わが国における高齢者は急増し、専門性の高い診療を行う基幹病院だけでなく、多岐にわたる疾患に広く迅速に対応できる“かかりつけ医”の役割が重要となっている。 高齢者に対する診療は併存疾患も多く、循環器疾患の治療だけに専念できるわけではない。例えば高齢者の心不全においてACE阻害薬、β遮断薬、抗アルドステロン薬、利尿薬による標準的治療を行うと、うっ血を改善することができるが、一方で低心拍出状態になると、活動性は著しく低下してしまう。高齢者がフレイルになると、新たな循環器疾患が増加することも報告されており、心不全に対する標準的治療を優先とするか?または活動性を優先とするか?一定の見解を得ることは難しい。また高齢者の虚血性心疾患や心房細動に対する抗血栓薬の使い方についても、議論の分かれるところである。このように高齢者は、腎機能障害、出血性疾患、呼吸機能障害、貧血、悪性疾患、感染症、認知症など多くのの併存疾患を有するため、循環器疾患に対する標準的治療を増量すべきか?減量すべきか?中止すべきか?については、ガイドラインや教科書だけでは明らかとならず、個々の症例に応じた適切な治療戦略が求められる。今回、高齢者に対する日常診療のケースから、経験値だけでなく、どのような理由、どのような方法、どのようなタイミングで標準的治療を変更、中止すべきか?本セッションにて皆様とのdiscussionを通して学びを深めたい。

シンポジウム

『循環器疾患の終末期と緩和医療』

座長
野々木 宏 (静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 集中治療センター)
木原 康樹 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科 循環器内科学)
座長のことば
心臓移植などの適応から外れた慢性心不全患者の予後は不良であり、進行がんのそれに匹敵する。2017年改訂版急性・慢性心不全治療ガイドライン(日本循環器学会/日本心不全学会)においては、ステージD(治療抵抗性)心不全患者における治療目標は、再入院予防と終末期ケアのみであることが明記された。厚生労働省「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」でも、非がん領域疾患に対してがんと同様の緩和医療を施すことの必要性が明示され、重傷末期心不全患者に対する緩和診療報酬も昨年一部の償還が承認された。一方、これら終末期医療を求める循環器患者に対して、いつ、どの職種が、どのような体制で、どう緩和医療を実施するべきなのかについては、単に議論が始まったに過ぎない。先行するがん緩和医療や緩和チームから何を学ぶのか、どう協調するのか、がんと非がんの緩和では何が異なるのかなどを含め、全ての具体化はこれからの課題である。本シンポジウムではそれらの問題にいち早く取り組みつつある先駆者に集合いただき、その方向性や展望を広く共有したい。

『循環器疾患における緩和ケアの展望(コメディカル・チーム)』

座長
安斉 俊久 (北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学)
水野 篤  (聖路加国際病院心血管センター 循環器内科)
座長のことば
世界保健機構の報告によれば、終末期に緩和ケアを必要とする疾患の中で、心血管疾患は最も多くを占めるといわれている。心血管疾患の中でも心不全領域における緩和ケアは、最近改訂された日本循環器学会/日本心不全学会による急性・慢性心不全診療ガイドラインにおいて、新たな項目として記載され、本邦における認知度も年々向上しつつある。しかしながら、緩和ケアといってもどのようなことをするものなのか、未だ明確にはされておらず、それぞれの施設で試行錯誤を重ねながら質の高い診療を目指しているのが現状である。こうした中、緩和ケアチームの運営方法や緩和ケアに対する考え方などを施設間で幅広く共有することは非常に重要と考えられる。本セッションでは、「是非、我がチームの工夫を聞いてほしい!」、「緩和ケアとはこういうものだ!」といったチームにおける考え方や実践のほか、具体的な症例や緩和ケアの中に明確な指針を示すための客観的データ・エビデンスなどについても積極的に発表していただき、循環器疾患における緩和ケアの更なる発展に繋げられるようにしたいと考えている。

『A.Iでどこまで心臓病診療は進むか?』

座長
坂田 泰史 (大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
辻田 賢一 (熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学)
座長のことば
心臓病学における「人工知能(AI: Artificial Intelligence)」活用の最大のメリットは何であろうか?「ディープラーニング」(深層学習:deep learning)によって飛躍的な進歩を遂げた「機械学習」がいま脚光を集め、AIが医療の質の向上、不足する医療資源の補填、個別化医療の推進に寄与すると大いに期待されている。厚生労働省は、AI開発を進めるべき6つの重点領域として、①ゲノム医療、②画像診断支援、③診断・治療支援、④医薬品開発、⑤介護・認知症、⑥手術支援を明示している。我が国には、“宝の山”とも言うべき、国民皆保険制度の中で生み出されてきた膨大な保健医療データが存在し、特に心臓病学の領域では、いわゆるビッグデータがあふれているが、過去には様々な縦割り構造のもと、各種データが分散し、相互につながらない形で進められてきた。これらの反省を踏まえ、近年、各種ビッグデータの統合解析が進み、心臓病学における診断支援、治療・手術支援、個別化医療へのAI活用が急ピッチで進んでいる。AIは決して医師業務を肩代わりする単なるコンピューターではなく、医師による適切な診断や治療を支援し、心臓病学の質の向上を増幅・加速させるものであるはずである。このセッションでは、臨床心臓病学における最新のAI活用事例をエキスパートに紹介頂き、AI活用の将来展望を共有したい。幅広い領域からの積極的な応募と活発な議論で未来の至適なAI活用を模索したい。

『糖尿病患者の心血管イベント予防』

座長
足立 健  (防衛医科大学校 循環器内科)
平山 篤志 (大阪警察病院 心臓センター)
座長のことば
糖尿病患者の心血管系合併症対策は生命予後につながる重要課題である。2000年代に発表された、(UKPDS, ACCORD, ADVANCE)などの血糖降下強化療法では低血糖の弊害もあり心血管イベントの減少は短期的に認めなかった。ロシグリタゾンの臨床研究ではHbA1c低下にも関わらず、イベントの増加が危惧された。このことから、HbA1c低下とは独立に薬物安全性非劣性の検証と、心血管イベント評価が必要となった。
近年に入り、DPP-4阻害剤の臨床研究(TECOS、CARMELINA試験)では安全性は証明されたが、短期的なイベント減少効果は認められなかった。SGLT-2阻害剤の臨床研究(EMPA-REG, CANVAS, DECLARE試験)では心不全の入院と腎症の悪化抑制効果が認められたが血管イベント抑制については結論が得られていない。GLP-1製剤の臨床研究(LEADER, SUSTAIN-6,試験)でも心血管イベント低下が報告されたが、一定の見解は得ていない。
これらの結果を踏まえて、糖尿病の心血管イベント予防には血糖降下のみならず、患者背景や薬剤の作用機序に立ち返り選択する必要がある。糖尿病を高血糖のみならず、インスリン抵抗性や脂質代謝異常、炎症や酸化ストレスを介した臓器連関の問題も考慮する必要がある。本シンポジウムでは糖尿病合併症の治療を病態生理から考え、今後の心血管イベント予防につながる臨床研究・トランスレーショナルリサーチを紹介する。

『日・米・欧のガイドライン改訂がもたらす高血圧治療のニューパラダイム』

座長
長谷部 直幸(旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野)
楽木 宏実 (大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学)
座長のことば
2017年に米国、2018年に欧州、2019年に日本の高血圧治療に関するガイドラインが改訂となった。すべてのガイドラインがそれ以前と比較して降圧目標を厳格化する方向となったが、目標値の記載はそれぞれに特色がある。特に、米国ガイドラインでは高血圧症診断基準を130/80mmHg以上に変更した。診断において診察室外血圧を重視するようになったことも大きな変化である。また、すべてのガイドラインで、降圧目標達成に向けて何をすべきなのかについて多くの記載がなされている。これまでのガイドライン整備、優れた降圧薬の出現にもかかわらず、管理率が不十分な現状を指摘するもので、Inertia(惰性)という用語を改めて紹介して、医師の考え方の問題にまで言及するようになった。これらの改訂事項はいずれも高血圧治療が次の段階に入るべきであることを示唆する。また、個々の疾患を合併した場合の降圧治療方針についても、それぞれの分野での治療の変化やエビデンスの積み重ねによって、推奨がより明確化されるようになってきた。心臓病学会におけるセッションということで、特に虚血性心疾患や心不全、心房細動の合併患者は大きな関心事である。さらに、超高齢者の増加に伴う生活機能や認知機能に配慮した降圧治療も新たな局面を迎えた。本セッションでは、ニューパラダイムを理解した降圧治療のあり方と臨床現場での課題への対処について討論する。

『CKDと心不全についての最近の知見を踏まえて』

座長
斎藤 能彦 (奈良県立医科大学 循環器内科)
葭山 稔  (大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学)
座長のことば
心不全症例の60−75%にはCKDの合併が認められる。これは、心不全とCKDが極めて強く関連していることを意味しており、心腎連関と呼ばれ、広く周知されている。
心腎連関に関しては、今回の学会でも「心・腎・貧血連関の解明はどこまで進んだのか?」が会長特別企画として予定されているが、座長の言葉からもわかるようにこの連関の機序に重きを置かれた企画となっている。本シンポジウムでは、臨床的知見に少し焦点を当てて、CKD合併心不全の、病態・診断・治療のトピックをディスカッションしてみたい。
例えば、急性心不全に合併するAKIは可逆性なのか?腎機能を温存する治療法が急性心不全、慢性心不全とも双方で必要なのか?CKD合併慢性心不全の治療戦略はどうするのか?利尿薬の上手な使い方はどうすれば良いのか?RAS阻害薬の最善の用量はどこにあるのか?CKD合併の虚血性心疾患へのインターベンションのタイミングは何時がベストなのか?等、次々に込み上げてくるclinical questionsに対して最近の知見を広く公募し、明日の臨床に役立つディスカッションを行いたい。ふるってご応募お願いいたします。

『リスクファクター管理における多職種連携のITの未来』

座長
苅尾 七臣 (自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門)
吉田 俊子 (宮城大学 看護学群)
座長のことば
循環器疾患の終末像である心不全患者は、2040年には140万人に達することが予測されており、医療費削減の観点からも継続したリスクコントロールが重要課題となっている。リスクコントロールには、身体活動性の維持、食事療法、薬物療法等への継続した介入が重要であり、認知・精神機能や生活調整を含めた多職種連携による支援が求められる。さらに、低リスク者や健常者においても、予防期からの健康への教育機会を設けていくことが重要である。循環器治療においては、低侵襲化や在院日数の短縮が図られているが、継続的な介入や教育が十分に行われていない現状にあり、リスクコントロールの継続支援にむけた多職種連携による新たな方法を開発していくことが求められる。
近年、医療現場においてはICTの活用が図られており、多様な医療現場での可能性が示されている。本セッションでは、「リスクファクター管理における多職種連携のITの未来」をテーマに、急性期医療から在宅・地域へと継続した介入の現状や課題、可能性や活用方法についてディスカッションを行い、ICTを活用した多職種連携によるシームレスなリスクファクター管理を実施していくための方策を検討していきたい。

『高齢者冠動脈疾患と多臓器連関』

座長
原田 和昌 (東京都健康長寿医療センター 循環器内科)
的場 聖明 (京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科)
座長のことば
65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は、平成28年時点において既に27.3%で、80歳以上の高齢者は総人口の8.2%であり、今後も増加の一途である。PCIの進歩はめざましいが、今後も80歳以上の超高齢者に対するPCIには、多くの課題があると考えられる。高齢者は心臓虚血時に自覚症状が乏しく、診断時には既に高度多枝病変であることが、珍しくない。多臓器障害や全身の動脈硬化に基づく合併症が多く、腎障害や閉塞性動脈硬化症の存在もカテーテル治療を困難にする。冠動脈疾患は多枝病変、石灰化病変が多く、心機能低下や冠動脈バイパス既往例が多いことは、PCI症例の難度を高める。
また、2000年初頭まで低下していた本邦の急性心筋梗塞の死亡率低下も、より高齢の患者さんが心筋梗塞になることを背景に、死亡率低下の下げ止まりや再上昇がみられることも事実である。世界の中で最も高齢化の進んだ高齢先進国である日本で心血管疾患を担う循環器内科医が、結集して、高齢者冠動脈疾患の治療や臓器合併症を減らすことが、我々の使命でもあると考えられる。本セッションでは、迫り来る超高齢化社会において各人がどのような工夫やデータを用いて立ち向かうかの気迫を紹介させていただきたい。

『冠血行再建のEBMとリアルワールド』

座長
夜久 均  (京都府立医科大学大学院医学研究科 心臓血管外科学)
横井 宏佳 (福岡山王病院 循環器内科)
座長のことば
冠血行再建のエビデンスに基づいて治療ガイドラインは作られている。AHA/ACC、ESC/EACTS、および日本循環器学会が出している冠血行再建ガイドラインも、どのエビデンスに重点を置いて作成するかの違いがあっても、より高いエビデンスを最大限盛り込もうとするのは共通の原則である。ただ臨床の現場においては、果たしてどの程度ガイドラインに基づいた診療がなされているのであろうか?もちろんガイドラインは法律では無く、治療行為を規定するものではない。しかしながら、実臨床の中でどの程度ガイドラインが遵守されており(Guideline Adherence)、またその成績がどうであるのかを検証することは、われわれの重要なタスクと考えられる。このセッションでは冠血行再建の実臨床では、ガイドライン上どの推奨度でのカテーテル治療がなされているかを確認し、その治療成績(特に遠隔期成績)はどうであったのかを検証し、虚血性心疾患治療の根幹である冠血行再建の在り方を議論したい。

『心筋虚血をどう診断するか』

座長
平田 健一 (神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学)
天野 哲也 (愛知医科大学 循環器内科)
座長のことば
心筋虚血の評価は、虚血性心疾患患者の予後を推定しうるとともに、その治療法の一つである冠動脈インターベンション(PCI)の適応決定においても重要である。とりわけ安定型狭心症においては、2007年のCOURAGE試験の発表以降米国においてAUC appropriate use criteriaの概念が導入され、我が国においても昨年診療改定によりPCI前の虚血の同定が基本的に義務付けられた。これらは、医療資源の適正配分に資するための国の施策の一環と考えられる。このように虚血どう診断するかを問う以前にその意義を再考することが重要と考えられる。平成28年度厚生労働科学特別研究事業報告によれば、安定型狭心症に対するPCI施行全の虚血検査の実施状況は冠動脈血流予備能測定、負荷心電図、負荷エコー、トレッドミル負荷試験、SPECT(心臓核医学検査)を含めて対象施設全体の38%にすぎず、昨年度診療改正のバックグラウンドとなっていると思われる。本シンポジウムでは、虚血診断の重要性を踏まえたうえで、各虚血診断モダリティの光と影について認識を深めたい。

『急性大動脈解離の治療と今後の展望』

座長
荻野 均  (東京医科大学 心臓血管外科)
小松 誠  (大阪暁明館病院 心臓血管病センター)
座長のことば
急性大動脈解離は、突然に発症し死亡に至らしめる極めて重篤な疾患である。したがって、その診断、治療、予後の改善、予防においては多くが注目するところである。従来より、主に心臓血管外科医が単独で診療を担当してきたが、近年の診断や治療は、遺伝性結合織疾患などの基礎疾患検索のための遺伝子診断、エコー・CT/MRIの画像診断、発症前後および遠隔期での内科的治療(薬物治療)、さらに従来から標準的治療であった外科手術に加え、最近になり著しい進歩・発展をみせるステントグラフト内挿術を含めた血管内治療が急速に展開されてきている。このように専門分野も多岐にわたり、急性大動脈解離に対してもチーム医療としての集学的なアプローチがますます重要となってきている。さらに、患者搬送のための病病連携・救急診療体制の構築が極めて重要であり、社会全体の認識が求められている。
本シンポジウムにおいては、急性大動脈解離の診療において、血管内視鏡による早期・先制診断を含めた診断法の新しい展開、内科医の積極的診療参画とその効果、外科治療の成績向上と血管内治療を含めた新たな外科治療法の展開、など各部門のエキスパートによる講演を含め、「急性大動脈解離診療と今後の展開」に関する活発な議論の展開を期待する。

『負荷心エコーの展望』

座長
田邊 一明 (島根大学医学部 循環器内科)
平野 豊  (近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部)
座長のことば
負荷心エコー図法は近年、心筋虚血だけではなく、弁膜症、心筋症、あるいは心不全にも利用されており、有用性が高まっている。しかし、運動負荷心エコー図法では現在でも心筋虚血の評価は半定量的な評価方法が用いられる事が多く、ストレインや3Dエコーを用いた評価に至っていない。弁膜症についても運動中の弁逆流の定量評価の妥当性について詳細は明らかではない。拡張心不全心の早期診断に負荷心エコー図法が有用と報告されているが、精度良く診断できるエビデンスは十分とは言えない。運動誘発肺高血圧の検出は、病態把握をする上で有用であるが、出現する理由や意義は、実は個々の心血管疾患において異なっている。本セッションでは前述のような負荷心エコー図検査において現時点ではまだ解決されていない問題点や疑問点について議論する。そして、負荷心エコー図法の重要性と臨床的意義について明らかにしたい。さらには負荷心エコー図法の将来の展望について、会場の先生方と経験豊かな講演者とともに、今後行われる研究の方向性も含めて議論していきたい。

『TAVIハイリスク患者への治療戦略を検証する』

座長
明石 嘉浩 (聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
桃原 哲也 (川崎幸病院)
座長のことば
大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)が2013年10月に保険償還され5年が経過しました。これまでに国内で約1万8千人がTAVIを受けています。2018年3月までのデータでは約1万1千人がTAVIを受け、その平均年齢は85歳で30日死亡率が1.3%、生活の質を脅かす程度の脳梗塞は1.4%であったと報告されています。
TAVIの適応に関しては、欧米ではSTS scoreで約4%の中間リスクが対象で行われた研究で外科的弁置換術(SAVR)と同等との評価でした。また、STS scoreで4%以下の低リスクが対象で行われた研究が進行中で、近いうちにその成績が公表されます。このように、当初のハイリスク症例を対象に始まったTAVIですが、将来的には重症ASの第一選択の治療になる可能性を秘めています。
しかし、重症ASに対してTAVIのみですべが解決するわけではありません。TAVIを始めたことによって、より高齢で重篤な症例が紹介されてくることも多くなっているのも現状でしょう。その際に治療を行わないという選択肢も消極的にみえますが治療選択のひとつになると考えられます。また、TAVIが解剖学的な理由などからリスクが高いと考えられた場合はSAVRを検討しそれを行うことも必要になっていると考えられます。
TAVIが成熟期に入ったと思われるこのような時期にセッション名でもあります“TAVIハイリスク患者への治療戦略を検証する”をその分野の専門家と一緒に議論できることは非常にタイムリーで有意義であると考えています。
各々の意見をぶつけ合い、熱い議論を期待しています。

『TAVI、SAVR術後心機能評価と最新のエビデンス』

座長
林田 健太郎(慶應義塾大学医学部 循環器内科)
高梨 秀一郎(日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院 心臓血管外科)
座長のことば
大動脈弁狭窄症の治療として従来から行われてきたSAVRに加え、新しくTAVIが登場してきた。近年のエビデンスに伴いその適応は年々拡大している。それぞれの治療法や現在における諸問題について知識を深めることはより最適な治療法を選択する上で重要と考えられる。
本セッションでは、術後新機能評価と最新のエビデンスに基づき、現時点での最適な治療法選択に役立つような情報の共有をめざしている。

『末期重症心不全に対する治療戦略』

座長
澤 芳樹  (大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学)
山口 修  (愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科)
座長のことば
心不全パンデミックと称される中、我が国では世界に先駆けての高齢化率上昇に伴う心不全患者数の増加が進行している。新たな薬物や補助循環装置の開発により、心不全の治療戦略は変わりつつある。我々はこうした内科的治療や外科的治療を集約し治療に当たる必要がある。重症症例に対する薬物療法は残念ながら限界を迎えており、新たな創薬標的に対する治療開発が世界的にも待ち望まれている。重症症例を前にした場合、まずは心機能低下を来した原因の鑑別診断について、特異的治療が存在する疾患の見落としが無いように厳密に行われる必要がある。また現在の薬物療法の適正化が十分に行われているかどうかの検証も必須である。十分な検討を経た後の末期重症心不全が真の意味でのStage Dであり、心臓移植や補助人工心臓、緩和医療が選択肢となる。心臓移植実施件数は法改正により増加したとはいえ、年間50〜60例にとどまっており、心臓移植待機患者数は増加の一途を辿っている。今後我が国でもDestination Therapy(DT)が保険償還される見込みであるが、60歳以上で心臓移植適応と判断され補助人工心臓装着された移植待機患者は実質的にDTの状況にある。新たな補助人工心臓による良好な臨床成績が報告されているが、致命的な合併症をなくすことは出来ない。再生医療を含めた新たな取り組みも次々と行われている中で、今後我が国が向かうべき治療戦略の新たな水平線について議論いただきたい。

『左心耳閉鎖デバイスの有用性:抗凝固療法との比較』

座長
池田 隆徳 (東邦大学大学院医学研究科 循環器内科学)
石川 利之 (横浜市立大学附属病院 循環器内科)
座長のことば
心房細動の存在により脳梗塞の発生頻度が約5倍上昇することが知られている。心原性脳梗塞は梗塞量が大きく、高率に出血性脳梗塞をきたし、生命予後が不良であるばかりではなく社会復帰率も低い。従来、心原性脳梗塞の予防には抗凝固療法が行われて来たが、出血性合併症が問題となっていた。心原性脳梗塞の予防効果と出血性合併症のデメリットを天秤にかける必要があった。ワルファリンしかなかった時代から新規経口抗凝固薬の出現により、頭蓋内出血の頻度は減り比較的容易に治療が可能になったが、大出血は依然として無視できない頻度で発生する。心房細動による心原性脳梗塞の塞栓形成部位の多くは左心耳である。そこで、デバイスにより左心耳を閉鎖することにより心原性脳梗塞が予防できることが期待される。欧米では既に承認されている左心耳閉鎖デバイスが我が国においては使用できない状態が続いていた。左心耳閉鎖デバイスの有用性としては抗凝固療法による煩わしさと出血性合併症の減少と長期的医療費の節約が期待される一方、デバイスおよび植込み手技に伴う合併症が危惧される。左心耳以外に形成された塞栓には無効であることも考える必要がある。また、治験では抗血小板薬が継続使用されており、出血の問題が残る。本シンポジウムでは、抗凝固療法と比較して、左心耳閉鎖デバイスの有用性について検討し、今後の展望について議論したい。

『Brugada症候群の新知見』

座長
清水 渉  (日本医科大学大学院医学研究科 循環器内科分野)
草野 研吾 (国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
座長のことば
1992年に発表されたBrugada症候群は、青壮年期の突然死の原因として大変重要である。すでに20年以上が経過しているが、当初から指摘されている右側胸部誘導に生じる特徴的な心電波形の成因、また心室細動発生のメカニズムは完全には明らかになっていない。心室細動既往例に対する2次予防として植込み型除細動器治療は確立しているが、1次予防に関しては、失神の有無、自然発生タイプ1波形が重要とされているものの、その他の因子については、遺伝子変異、ハイリスク心電図、自律神経の関与、電気生理学的検査による心室細動誘発性など様々なものが発表されているが、未だに定まったものはなく現場のリスク評価を困難にしている。また治療に関しては、従来の抗不整脈薬に加え、心外膜アプローチによるカテーテルアブレーションや皮下植込み型除細動器(S-ICD)も登場し治療選択枝が増えてきている。
今回のシンポジウムでは、Brugada症候群の新知見を広く募集し、この謎の多い疾患に対する診断・治療の適切なアプローチについて議論したい。

『心不全合併心房細動に対する非薬物療法:新しい治療ツールの使い分け』

座長
夛田 浩  (福井大学医学部 病態制御医学講座 循環器内科学)
坂田 泰史 (大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
座長のことば
心房細動(AF)は心不全患者に併発することが多く、心機能や血行動態に悪影響を及ぼし、さらに心不全を悪化させる。近年、心房細動、および心不全に対する多くの非薬物療法が発展・普及している。
カテーテルアブレーションはAFの根治療法(リズムコントロール)であり、心不全合併AF例においてアブレーション施行により死亡率と心不全増悪による入院が薬物療法のみによる治療よりも有意に低下することが報告された。
心不全を合併した持続性・永続性AF症例において、心臓再同期療法(CRT)は、房室結節伝導を抑制して両心室ペーシング率を高めた場合、薬物療法群に比して有意に死亡を減少させる。また、CRTによる心不全の改善は新規AFの発症を予防する。
デバイスによる心房ペーシング、あるいは心房抗頻拍ペーシング(ATP)はAF発症を防ぐ可能性がある。特殊なアルゴリズムのATPにより、持続性AFの発症やAFに伴う入院を有意に抑制されることが示されている。さらに、植込型デバイスによる遠隔モニタリングはAF、および心不全(増悪)の早期発見に有用である。
本シンポジウムでは心不全合併心房細動に対する非薬物療法に焦点をあて、現状と問題点、および今後の展望に関して論じたいと考えている。

『新たな恒久ペーシング法:リードレスペーシングとヒス束ペーシング』

座長
夛田 浩  (福井大学 循環器内科)
草野 研吾 (国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
座長のことば
徐脈性不整脈に対する治療としてペースメーカは確立した治療である。このペースメーカ治療に、近年2つの大きな治療法が加わった。
1つはリードレスペースメーカである。長期にわたる経静脈リードのトラブル(リード不全、リコールリード、リード感染など)は大きな医療上の問題であったが、これらの問題を払拭してくれたリードレスペースメーカは、大きな話題となっている。現機種にはVVIモードしかないため、血行動態の面からは従来のDDDペースメーカに劣ることや、心臓損傷・心タンポナーデなどの重大な合併症をきたす可能性があるが、植込みの成功率は99%と高く、その将来性に大きな期待が寄せられている。
もう1つは、ヒス束ペーシングである。従来の右室心尖部ペーシングによる左室非同期発生という問題が解決できるため、従来問題となっていた右室心尖部ペーシングがもたらす血行動態の悪化を防ぐことが期待されている。従来の右室ペーシングに比して閾値が高いこと、ならびに房室伝導障害のない症例でのヒス束ペーシングは伝導障害を引き起こす可能性がある事が報告されている。
今回のシンポジウムでは、これら2つの新しいペースメーカを取り上げ、現在の問題点や将来性についてディスカッションを行う予定である。

『肺高血圧症の最新治療』

座長
佐藤 徹  (杏林大学医学部 循環器内科)
福本 義弘 (久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門)
座長のことば
肺高血圧症は、安静時平均肺動脈圧が25mmHg以上と定義され(2013年ニース会議)、進行性の肺血管抵抗上昇および肺動脈圧上昇が特徴で、最終的には右心不全を呈する難治性疾患である。現在の分類では障害部位に基づいて大きく5つに分類されている。
今から20年前、わが国にフローランが導入され、その後さまざまな肺血管拡張薬が開発されてきた。現在、特発性・遺伝性肺動脈性肺高血圧症では、プロスタサイクリン経路、一酸化窒素合成経路、エンドセリン経路の薬剤で加療されており、膠原病性肺動脈性肺高血圧症では、それらに加え、免疫抑制療法などが施行されている。慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対しては薬物療法と外科的治療が前提ではあるものの、わが国においてはバルーン拡張による肺動脈インターベンションも施行されており、良好な成績を収めている。
以前は極めて予後不良疾患であったが、治療の進歩に加えて、疾患の認知度が向上してきており、早期発見早期治療が行われるようになった。その結果、生命予後が改善してきていると考えられる。
わが国の肺高血圧症治療は世界の最先端を走っている。このような状況を鑑み、本シンポジウムでは、わが国の肺高血圧症治療が、現在どのように行われており、今後どの方向を向いて進んでいくのか、ディスカッションしたい。

『遺伝性循環器疾患に対する遺伝子解析の実践』

座長
塩島 一朗 (関西医科大学 内科学第二講座)
大野 聖子 (国立循環器病研究センター 分子生物学部)
座長のことば
多くの循環器疾患は、高血圧や糖尿病等の生活習慣病、つまり後天性の疾患と考えられている。ところが遺伝性の循環器疾患も存在し、その代表格が心筋症である。肥大型心筋症は罹患頻度が500人に1人程度であり、遺伝性循環器疾患の中で最も多い疾患である。また、先天性QT延長症候群などの遺伝性不整脈や、Marfan症候群などの遺伝性大動脈疾患は、突然死の原因として重要な疾患である。一方、生活習慣病と考えられている高コレステロール血症においても、一部の症例は家族性であり、著明な動脈硬化と若年での冠動脈疾患発症を来すことから、早期診断と治療開始が不可欠である。このような遺伝性疾患については、遺伝学的検査によって早期の診断が可能になる。さらに近年、生活習慣病についてもゲノムワイド関連解析の手法を用いることにより、遺伝的リスクが明らかにされてきている。
遺伝子解析技術の飛躍的な発展で、多くの疾患に対する遺伝子解析が可能になってきている。ところが保険診療として遺伝学的検査が承認されている循環器疾患は、ごく一部に限定されており、研究レベルで遺伝子解析が実施されているに過ぎない。また生活習慣病の遺伝的リスクの臨床活用へは、多くの課題が残されている。本セッションでは、実際に遺伝性循環器疾患の遺伝子解析を実施されている先生方にご登壇いただき、今後の臨床への活用について討議してみたい。

ジョイントシンポジウム

日本小児循環器学会・日本心臓病学会ジョイントシンポジウム

『成人先天性心疾患に見られる全身合併症』

座長
八尾 厚史 (東京大学医学部附属病院 循環器内科)
赤木 禎治 (岡山大学医学部・歯学部附属病院 循環器内科)
演者
稲井 慶  (東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児科)
相馬 桂  (東京大学医学部附属病院 循環器内科)
大内 秀雄 (国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 小児科)
杜 徳尚  (岡山大学医学部 循環器内科)
森島 宏子 (千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部)

日本心臓リハビリテーション学会・日本心臓病学会ジョイントシンポジウム

『進化する心臓リハビリテーションの役割 ~心不全再発・重症化やフレイル予防~』

座長
明石 嘉浩 (聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
三浦 伸一郎(福岡大学病院 循環器内科)
演者
長谷川恵美子(聖学院大学 人間福祉学科)
鈴木 規雄 (聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
高橋 哲也 (順天堂大学保健医療学部 開設準備室)
谷口 達典 (大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

日本心臓核医学会・日本心臓病学会ジョイントシンポジウム

『不安定プラークの多角的イメージングと未来』

座長
竹石 恭知 (福島県立医科大学 循環器内科学講座)
松尾 仁司 (岐阜ハートセンター 循環器内科)
演者
深町 大介 (日本大学医学部附属板橋病院 循環器内科)
大竹 寛雅 (神戸大学医学部附属病院 循環器内科)
野口 暉夫 (国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
皿井 正義 (藤田医科大学 循環器内科)
田原 宣広 (久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門)

日本心臓血管外科学会・日本心臓病学会ジョイントシンポジウム

心筋生検研究会・日本心臓病学会ジョイントシンポジウム

日本循環器心身医学会・日本心臓病学会ジョイントシンポジウム

ACC-JCCジョイントシンポジウム

※同時開催のACC Asia Conference 2019にて開催

JCCケースカンファレンス
【地域医療/実地医家活動委員会企画】

『九州/沖縄チーム(高血圧症)』

座長
宮田 昌明 (鹿児島市立病院 循環器内科)
三浦 伸一郎(福岡大学病院 循環器内科)

『東北チーム(虚血性心疾患)』

座長
伊藤 智範 (岩手医科大学内科学講座 循環器内科分野/
医学教育学講座 地域医療学分野)
渡邉 哲  (山形大学医学部附属病院 内科学第一講座)

『北陸チーム(大動脈疾患)』

座長
川尻 剛照 (金沢大学附属病院 循環器内科)
宇隨 弘泰 (福井大学医学部附属病院 循環器内科)

『北海道チーム(重症心不全)』

座長
永井 利幸 (北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学)
永野 伸卓 (札幌医科大学 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座)

『四国チーム(心筋症)』

座長
久保 亨  (高知大学医学部 老年病・循環器内科学)
大木元 明義(市立宇和島病院 循環器内科)

『関西チーム(弁膜症)』

座長
泉 知里  (国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
田中 秀和 (神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野)

『東海チーム(不整脈)』

座長
藤井 英太郎(名張市立病院 循環器内科)
因田 恭也 (名古屋大学 循環器内科)

『中国チーム(肺高血圧)』

座長
中村 一文 (岡山大学大学院 循環器内科学)
土肥 由裕 (呉共済病院 循環器内科学)

『関東チーム(成人先天性心疾患)』

座長
石津 智子 (筑波大学大学院人間総合科学研究科 臨床検査医学)
松本 直也 (日本大学病院 循環器内科)

Physical Examinationを学ぶ【教育委員会企画】

『[臨床編]Physical examinationを使う』

座長
佐藤 徹  (杏林大学医学部 循環器内科)
演者
中岡 洋子 (社会医療法人近森会 近森病院 循環器内科)
林田 晃寛 (心臓病センター榊原病院 循環器内科)
川﨑 達也 (松下記念病院 循環器内科)

『[実践編]physical examinationを活かす』

座長
大倉 宏之 (岐阜大学大学院医学系研究科 循環病態学)
演者
藤本 卓司 (耳原総合病院 総合診療センター 救急総合診療科)
板金 広  (いたがねファミリークリニック 内科・循環器科)
阿部 幸雄 (大阪市立総合医療センター 循環器内科)

『[応用編]エキスパートのphysical examination』

座長
室生 卓  ((医)倫生会 みどり病院 心臓弁膜症センター内科)
演者
須藤 博  (大船中央病院 内科)
山崎 直仁 (高知大学医学部 老年病・循環器内科学)
山本 正治 (山本内科循環器科)

チーム医療委員会セッション

『循環器疾患を患う認知症患者の現状とケアの実際』

座長
池亀 俊美 (日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院 看護部)
高橋 哲也 (順天堂大学 保健医療学部開設準備室)
演者
荒井 秀典 (国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)
玉田 田夜子(兵庫県立姫路循環器病センター)
内藤 喜孝 (心臓病センター榊原病院 リハビリテーション室)
長谷川恵美子(聖学院大学 心理福祉学部)
芦川 直也 (豊橋ハートセンター 薬剤師)

成人先天性心疾患問題検討委員会セッション

『成人先天性心疾患における終末期医療と緩和ケア』

座長
稲井 慶  (東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児科)
水野 篤  ((財)聖路加国際病院心血管センター 循環器内科)
基調講演
福田 旭伸 (聖路加国際病院 循環器内科)
弓野 大  (医療法人社団ゆみの ゆみのハートクリニック)
コメンテーター
武田 充人 (北海道大学病院 小児科)
立野 滋  (千葉県循環器病センター 小児科)
仁田 学  (横浜市立大学附属病院 循環器・腎臓高血圧内科)
藤井 隆成 (昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)
宮崎 文  (天理よろづ相談所病院 小児科)
症例検討
朝貝 省史 (東京女子医科大学病院 循環器小児科)
西畑 庸介 ((財)聖路加国際病院 循環器内科)
水野 芳子 (東京情報大学 看護学部)

男女共同参画委員会セッション

『質の高い循環器医療を確保していくための働き方改革とは』

座長
瀧原 圭子 (大阪大学キャンパスライフ健康支援センター 保健管理部門)
吉田 俊子 (宮城大学 看護学部)
基調講演
福井 次矢 (聖路加国際大学 学長・病院長)
演者
山本 一博 (鳥取大学医学部 病態情報内科)
樗木 晶子 (九州大学大学院医学研究院 保健学部門)

心臓病医のための集中講義

『非糖尿病専門医がすべき糖尿病診療(リスク評価・血糖コントロール)』

座長
湊口 信也 (岐阜市民病院 心不全センター)
新家 俊郎 (昭和大学病院 循環器内科)
演者
佐野 元昭 (慶應義塾大学医学部 循環器内科)
吉町 文暢 (東海大学医学部付属八王子病院 循環器内科)

『血管機能検査を心臓病診療に活用する(内皮機能検査・脈波検査)』

座長
山科 章  (東京医科大学 医学教育推進センター)
佐田 政隆 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 循環器内科学)
演者
東 幸仁  (広島大学 未来医療センター)
竹本 恭彦 (大阪市立大学医学部附属病院 総合診療センター)

『虚血性心疾患に対する抗凝固薬・抗血小板薬の使い方(使用方法・中断基準)』

座長
阿古 潤哉 (北里大学医学部 循環器内科)
小林 欣夫 (千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学)
演者
七里 守  (名古屋第二赤十字病院 循環器内科)
田邉 健吾 (社会福祉法人 三井記念病院 循環器内科)

『最新の急性・慢性心不全診療(急性期・慢性期)』

座長
百村 伸一 (自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科)
佐藤 直樹 (日本医科大学武蔵小杉病院 内科・循環器内科・集中治療室)
演者
猪又 孝元 (北里大学北里研究所病院 循環器内科)
衣笠 良治 (鳥取大学医学部附属病院 循環器科)

『肥大心の鑑別と治療(遺伝子診療・臨床のポイント)』

座長
北岡 裕章 (高知大学医学部 老年病・循環器内科学)
檜垣 實男 (南松山病院 内科)
演者
久保 亨  (高知大学医学部 老年病・循環器内科学)
奥村 貴裕 (名古屋大学医学部附属病院 重症心不全治療センター)

『最新のエビデンスに基づく心房細動診療(疫学・治療)』

座長
熊谷 浩一郎(福岡山王病院 ハートリズムセンター)
平尾 見三 (東京医科歯科大学医学部 循環器内科)
演者
佐々木 真吾(弘前大学大学院医学研究科 不整脈先進治療学講座)
里見 和浩 (東京医科大学病院 循環器内科)

『静脈血栓塞栓症の診断と治療(リスク評価・発症後のマネージメント)』

座長
石橋 宏之 (愛知医科大学 外科学講座血管外科)
山田 典一 (桑名市総合医療センター 循環器内科)
演者
杉村 宏一郎(東北大学病院 循環器内科)
山本 剛  (日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科)

『成人先天性心疾患診療ガイドラインから基本を学ぶ(内科管理・外科治療) 』

座長
稲井 慶  (東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児科)
八尾 厚史 (東京大学医学部附属病院 循環器内科)
演者
立野 滋  (千葉県循環器病センター 小児科)
市川 肇  (国立循環器病研究センター 小児心臓外科)

Japan Cardiology Clinic Session

『日本の循環器医療を地域から支える』

座長のことば
少子高齢化に伴う独居高齢者の増加、疾患の複雑化・慢性化など疾病構造の大きな変化が問題となっている。一方で、病床の減少、入院期間の短縮など も求められていることから、自分らしい暮らしを最期まで続けられるような地域包括ケアシステムの構築が急ピッチで進んできている。このような地域 包括ケアにおいて、“心臓病=命に直結”という強いイメージから、地域の医療介護においては、苦手意識が浸透しており、循環器医療を地域から支え る循環器専門クリニックの担う役割は非常に大きい。
本セッションにおいては、JAPAN CARDIOLOGY CLINIC SESSIONと題して、循環器医療を地域から支える循環器専門クリニックの様々な取り組みをご紹介頂き、循環器領域における地域包括ケアの充実ととも に、時代に合った臨床心臓病学の発展につながることが期待される。

YIA最終選考

座長
小室 一成 (東京大学医学部附属病院 循環器内科)