ビジュアルワークショップ5

心サルコイドーシスの診断と治療

森本 紳一郎(総合青山病院循環器内科)
矢崎 善一(佐久総合病院佐久医療センター循環器内科)

心臓サルコイドーシス(心サ症)は心外病変経過観察中に心電図異常でみつかる軽症例から、原因不明の心筋症として来院し重症心不全や致死的不整脈をきたすような重症例まで幅広い臨床像を呈する。また、サルコイドーシスは病変の出現に時間的・空間的多様性を有しており、特徴的な心病変が存在しても心外病変が明らかでない場合は孤立性心サ症あるいは心臓限局性心サ症と呼ばれ診断が難しい。本邦では診断の手引きの改定が現在進行中であり、従来からの心臓超音波検査や心筋シンチのみならず、心臓MRIやFDG-PETの重要性が認識されてきている。一方、FDG-PETやMRIなどの画像や心内電位をガイドにした心内膜心筋生検を行うことにより組織診断の陽性率を向上させる試みも行われるようになった。
心機能が高度に低下する前にステロイド治療を開始し心室頻拍に適切に対処することは予後の改善につながると考えられているが、ステロイドの投与量を調節するための画像診断は確立されていない。FDG-PETが心病変活動性の評価に期待されているものの、心臓への生理的集積の抑制が課題であり、撮像前の絶食時間や前日の炭水化物制限食などが必要である。
このビジュアルワークショップでは、FDG-PETやMRIを用いた診断、心病変の活動性評価と治療、画像や心内電位などをガイドにした心内膜心筋生検などに関する研究成果を議論したい。