神崎 秀明 | (独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 心不全科) |
里見 和浩 | (東京医科大学八王子医療センター循環器内科) |
心不全の治療法として心臓再同期療法(CRT)の有用性はすでに広く認知されている。CRTの適応決定において現在のガイドラインでは、心電図所見の完全左脚ブロックとQRS幅が重視されているが、CRTのメカニズムから考えると、「非同期(dyssynchrony)」の存在は、やはり重要な要素といえる。また、CRT植込み後にペーシングパラメータを最適化する意義についてもよく知られているが、最適化を行うには、やはり同期性の評価が必要である。
これまでにも、数多く心臓の同期性を定量化する手段が報告されてきたが、CRTの慢性効果は「非同期の改善」以外の影響も受けるため、同期性の評価が正しかったかどうかを証明するのは困難である上に、特殊なソフトが必要であったり、計測が非常に煩雑で、同期性の定量化は日常臨床で一般化しているとは言い難い。今回のシンポジウムでは、近年の技術の発達により、同期性の評価はどのように進歩しているのか、その現状と、CRTの設定を最適化する手段として、実際にはどのような方法が良いのか、最新の知見も交えて議論できればと考えている。