木原 康樹 | (広島大学大学院医歯薬保健学研究科 循環器内科学) |
近森 大志郎 | (東京医科大学 循環器内科) |
日本循環器学会より『冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン』が発表されてから5年が経過した。このガイドラインでは急性期および慢性期の冠動脈病変の診断法について、心電図・心エコー図・冠動脈CT(CTCA)・核医学・MRIの各診断モダリティが当時に有していたエビデンスに基づいて、診断アプローチを提唱したものである。その後短期間にそれぞれの診断モダリティは著しく進歩し、各々豊富なエビデンスが追加されてきている。さらに当時はゴールド・スタンダードと考えられていた冠動脈造影による解剖学的評価についても、冠血流予備比(FFR)などの生理機能学的指標により補完された多角的評価が重視されるようになってきた。以上より、本シンポジウムでは安定狭心症に焦点を当て、非侵襲的検査ばかりではなく侵襲的検査も含めて診断法(プロセス)を再考する。具体的には、①運動負荷心電図、②核医学検査、③CTCA、④侵襲的冠動脈造影検査について、それぞれの専門的立場から各モダリティの基本的重要性と新たな進展を発表し、安定狭心症の診断アプローチがどのように変わりつつあるかについて討議を深める。