伊藤 宏 | (秋田大学大学院医学系研究科 循環器内科学 呼吸器内科学) |
代田 浩之 | (順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学) |
厚生労働省によると平成24年に我が国では950万人の糖尿病患者が存在すると報告されている。糖尿病は冠動脈疾患、心不全、末梢動脈疾患の発症リスクであるだけでなく、その予後を悪化させる因子としても極めて重要である。しかしながら、糖尿病を合併した循環器疾患症例をどのように管理することが、患者の予後を改善させるのかについては継続して議論が続いている。心筋梗塞の急性期の高血糖は予後を悪化させることが知られているが、積極的な血糖管理を行った大規模試験DIGAMI-II研究では生命予後の改善は得られなかった。慢性期の血糖コントロールについてもACCORD、ADVANCE及びVADTなど、より最近の大規模介入試験でも強化療法による血糖管理の有用性が必ずしも支持されず、より早期の血糖管理の重要性が指摘されている。さらに、どのような方法で血糖管理をするべきなのか、新規抗糖尿病薬の位置づけもまだ十分な議論がつくされていない。一方、最近では血糖管理に加えて脂質、血圧などの多因子介入の有効性も認識され検証されつつある。このシンポジウムでは循環器疾患に合併した糖尿病の病態把握と管理方法について最新情報を集めて活発な議論を展開したい。