シンポジウム13

CTEPHの最前線:薬物治療、血管内治療、外科治療

佐藤 徹(杏林大学循環器内科)
荻野 均(東京医科大学心臓血管外科)

CTEPH chronic thromboembolic pulmonary hypertension(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)の予後は、現在施行されている外科治療、新しい血管拡張薬、血管内治療が行われる以前はきわめて不良で、mPAP mean pulmonary arterial pressure(平均肺動脈圧)30mmHg以上では5年生存50%、TPR total pulmonary resistance(総肺血管抵抗)が10 Wood Unitでは5年生存50%であった。日本でも1990年代後半から外科治療である肺動脈血栓内膜摘除術が始まり、2000年以降は種々の血管拡張薬(PAH pulmonary arterial hypertension肺動脈性肺高血圧症で使用される)が漸次使用されるようになり、予後が飛躍的に改善すると共に運動耐容能も向上した。更に2010年以降はカテーテルを使用した血管内治療が日本の先導でこれに加わり、従来は肺動脈血栓内膜摘除術の適応とならなかった、末梢病変主体の症例、高齢者、重篤な併存疾患を有する症例も治療対象となり、治療成績は更に改善した。当シンポジウムでは、これらの治療の開発によるCTEPH治療の発展の成果を各分野の専門家にまとめてもらい、最前線の知見を知ってもらうことを目的とした。