室原 豊明 | (名古屋大学循環器内科) |
倉林 正彦 | (群馬大学循環器内科) |
心不全は、神経系や呼吸器系などの生体の恒常性維持機構が破綻する代表的な症候群である。これまで、心不全の増悪をきたす非心臓因子として、腎機能低下や肥満などに関する研究が多数報告され、それぞれ、心腎症候群(cardio-renal syndrome)、心臓代謝症候群(cardio-metabolic syndrome)という概念が提唱されている。これらの病態に関してはこれまで多くの議論がなされてきている。
本シンポジウムでは、「脳・自律神経と心不全」、「肺と心不全」をテーマとしたい。心不全では代償機構として交感神経系やレニン・アンジオテンシン(RA)系が活性化し、病態形成の中心的なメカニズムとなっていることは議論の余地はないが、最近では、脳におけるRA系や交感神経におけるエンドセリン受容体の活性化が心不全の増悪因子となることが報告されている、また、123I-MIBG心筋シンチによって心臓交感神経機能と心不全の病態や予後に関する知見も集積されている。さらに、睡眠呼吸障害(sleep breathing disorder)に関しても、持続陽圧呼吸療法の有効性に関する研究とともにわが国で多くの先駆的な研究がなされている。
肺と心不全のテーマでは、肺高血圧から見た心不全の病態と治療に関する研究、COPD患者の心不全合併例に関する研究、あるいは、心肺運動負荷検査と心不全に関する研究などさまざまな角度からの演題を期待している。
心不全を脳や肺との臓器連関症候群として捉える研究を募集し、心脳連関、心肺連関の病態、診断および治療について活発に討論したい。多くの応募を期待している。