シンポジウム3

心臓突然死の予知と予防の最前線

池田 隆徳(東邦大学医学部内科学講座 循環器内科学分野)
新 博次(日本医科大学多摩永山病院)

心臓突然死の原因の多くは、心室細動や心室頻拍などの危険な不整脈によって生じることが知られている。予知するうえでのゴールドスタンダードは、言うまでもなく左室駆出率である。しかし、近年、他の検査指標を用いて心臓突然死の予知が行われるようになってきた。そのなかの、運動負荷中に評価する再分極異常指標のT波オルタナンス(TWA)と加算平均心電図で測定する脱分極異常指標の心室レイトポテンシャル(LP)は、平成24年度の診療報酬改正で新規の保険収載技術として承認された。ホルター心電図で測定する自律神経活動異常指標の心拍タービュランス(HRT)も、比較的活用度の高い検査指標である。最近特に注目されているのは、これらの指標が1台のホルター心電図で評価可能となったことであり、その有用性を検討するため多施設共同研究による前向き追跡調査(JANIES Study)も行われている。また、これら以外の独自の指標を用いて心臓突然死の予知に挑戦している施設もある。さらには、植込み型除細動器(ICD)のアルゴリズムを駆使して、心臓突然死の予防を行っている施設もある。
本シンポジウムでは、心臓突然死の研究に携わっている先生方から、現在行っているご自身の戦略についてご発表していただき、その後にわが国における心臓突然死の予知と予防のあり方についてディスカッションする予定である。本シンポジウムが参加される先生方の今後の診療にお役立てできれば幸いである。