高本 眞一 | (三井記念病院) |
山科 章 | (東京医科大学 循環器内科) |
今年の学術集会はテーマを「広げよう臨床心臓病学の輪」としました。循環器系学会間の輪もその一つです。学会のなすべきことは、その領域における研究及び振興を目的とするための事業としての学術集会の開催と学会誌の発行、その領域における教育および専門性の向上を目的とする事業としての専門医の認定、各種セミナー・講習会の開催、社会への普及啓発および社会還元を目的とする事業としての広報活動などがあげられます。ところが我が国には、多くの循環器系学会が存在しており、重複も多く、混乱を生じているのも事実です。
そこで、本特別企画では我が国の代表的な循環器系学会である日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本不整脈心電学会、日本心不全学会、日本心臓病学会、の各理事長に参加いただき、「循環器系学会の今後のあり方」について徹底討論していただくことにしました。学会間で、棲み分けを行い、協力・補完すれば、医学・医療の進歩、社会および会員への還元が効率的にできると思います。たとえば、①変わりつつある専門医制度への対応、認定および更新における学会間の関係強化、②ガイドライン作成における協力の強化、③心電学会と不整脈学会が行ったような学術集会の同時開催、さらには学会の統合、④学会間ジョイントシンポジウムの見直し(複数の学会間での開催を含めて)、⑤研修医、コメディカル、学生向けの講習会・セミナーの開催における棲み分けと協力、⑥COI等の規約の標準化、⑦医療倫理、医療安全講習、ACLS講習開催における協力と単位の互換性、⑧協力して行うべき行政や社会への働きかけ、などについて討論できればと思います。
心臓病学会の設立理念は「臨床心臓病学の発展とそれを支える若き臨床心臓医の育成」であり、臨床と教育に重きを置く循環器系の学会です。学術集会の開催、学会誌の発行、セミナー(医師向け、コメディカル向け)の開催、FJCC認定、など学会としての使命は十分に果たしていると思いますが、その他の循環器系学会との重複も多く、学会としてのアイデンティティーが明確でなくなりつつあるようにも思います。この討論の中で、「学会として心臓病学会が向かうべき道」が見えるよう、期待しています。