安村 良男 | (国立病院機構 大阪医療センター 循環器内科) |
渡邉 雅貴 | (東京医科大学 循環器内科) |
急性心不全の治療を行う際に、強心剤を用いるべきか否かの判断は現場の医師に依存することが多い印象がある。ADHERE試験では確かに血管拡張薬群と比較して、心不全患者の予後を強心薬が伸ばすことはなかった。しかしながら、急性心不全の中には組織低灌流がメインの病態も存在し、その治療に際しては強心薬が必要であることも多い。一方で、心不全治療の8割程度は“うっ血”を改善することが先んじて必要な場合も存在する。
これらの急性心不全治療の際には、それぞれの施設の受け持つ機能(高次医療機関から一般的な医療機関)にも大きく患者背景が左右されることも明らかである。このように実臨床のなかではクリアカットの答えなど出るはずもないが、今回のコントロバーシーセッションでは、強心剤の立ち位置について、あえて両極端の立場から、具体的な症例提示を行いつつ、論点を明確にする方式で議論をすすめようと思う。その際には、参加聴講のリアルタイムの反応や意見集約を可能にした双方向性アンサーチェッカーを多用し、心不全治療の現場で日々悩み、葛藤を繰り返す参加聴講が飽きることなく、充実した時間を過ごせることを約束したい。もう一点、今回のセッションの中では、参加聴講が明日からの心不全治療に役に立つ治療のヒントや最新主要論文の要旨解説といったものも共有することができるようにプレゼンテーションが展開される。是非、息つく暇もないほど良く計画された本コントロバーシーセッションに参加いただき、アンサーチェッカーを通して積極的なディスカッションをしていただきたいと思う。