池田 久雄 | (帝京大学 福岡医療技術学部 理学療法学科) |
代田 浩之 | (順天堂大学/日本心臓病学会・心臓リハビリテーション学会理事) |
我が国は世界に類を見ない急速な高齢化社会を迎え、2013年には65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,190万人となった。総人口に占める高齢者人口の割合は25.1%であり、2050年には40%を超えると予想されている。高齢者においては生理的予備能が少しずつ低下し、恒常性が失われていく。そのため医療の様々な場面でいわゆるフレイル(Frailty)を評価することが必要となっている。
日本老年医学会ではフレイルはストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念だと定義されている。循環器病患者も急速に高齢化しており、心臓リハビリテーションの領域においてもこのフレイルの状態に対応する必要性が急速に高まっていることは多くの医療者が感じているところである。心臓リハビリテーションの領域こそ、フレイルを考慮した診断とリハビリテーションプログラムの開発、対応システムの構築が急務である。この合同シンポジウムではこのような背景から"心臓リハビリテーションからフレイルを考える"と題してこの重要な課題について最新の情報を集めて活発に議論したい。